エジプト大統領選、現職のシーシ氏が3選の見通し

道路脇にシーシ大統領の選挙用看板が並ぶ=7日、カイロ/Khaled Desouki/AFP/Getty Images

2023.12.11 Mon posted at 18:27 JST

(CNN) エジプトで10日、大統領選が始まり、現職のシーシ氏(69)が3選を果たすとみられている。大統領選の日程は12日までで、結果は18日に発表される見通し。エジプトが隣接するパレスチナ自治区ガザ地区での戦争に世界の注目が集まるなか、大統領選については、「見せかけ」との批判の声も上がっている。

専門家によれば、シーシ氏はこの2カ月間、権威主義的な統治と反体制派への弾圧に対する欧米からの批判の声が出ていない状況を享受している。こうした変化は、イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦争をめぐり、シーシ氏が国際舞台で再び外交での存在感を示したためだという。

イスラエルとハマスとの戦争が始まって以降、米国のブリンケン国務長官や欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長、英国のスナク首相、ドイツのショルツ首相など欧米の当局者がエジプトを訪問している。


投票所で指にインクをつける有権者=10日、カイロ/ Mohamed Abd El Ghany/Reuters

英ロンドンにあるカーネギー国際平和基金のH・A・ヘリヤー氏によれば、エジプト政府は歴史的に、アラブ諸国とイスラエルとの紛争に関して、国際社会全般にとって重要な仲介役を果たしていた。

ヘリヤー氏は「イスラエル・パレスチナ問題が多くの政治の場で重要性が薄れていった。それは根本的に欠陥のある方法だったが、それにつれてエジプト政府の地政学的な重要性も低下した」と指摘。パレスチナ問題が重要な議題として復活したことで、エジプトとの良好で包括的な接触が新たに優先されるようになったとの見方を示した。

大統領選で票を投じる女性=10日、カイロ

専門家によれば、シーシ氏は国内外からの批判をほとんど受けることなく、次の任期を確実にしようとしている。

タハリール中東政策研究所のティモシー・カルダス副所長は「選挙はない。あるのは選挙劇だ」と述べ、シーシ氏に対するまともな対抗馬が存在しないことを指摘した。

カルダス氏によれば、ガザでの恐ろしい暴力は、シーシ氏が国民の関心を国内の問題からガザのパレスチナ人へと向けさせることに役立った。その結果、特に経済的な苦境など国内問題に対する注目度がある程度下がったという。

人権団体などからは、この2カ月、エジプトでは政治的に異議を唱える人々を弾圧し、野党候補に沈黙を強いていると批判の声が出ている。

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