(CNN) 米バーモント州バーリントンで銃撃されて負傷したパレスチナ系の学生3人のうち1人が、脚を動かすことのできない障害が一生残るかもしれないと診断された。家族が28日に明らかにした。
パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の出身で米ブラウン大学3年生のヒシャム・アワルタニさん(20)は25日、長年の友人2人と一緒にバーリントンの通りを歩いていたところを銃撃された。
ヨルダンのアンマンからCNNの取材に応じた母のエリザベス・プライスさんは、アワルタニさんが「自分の目の前のとても長い道のり」に向き合おうとし始めていると語った。
アワルタニさんは脊椎(せきつい)損傷のため、両脚に感覚はあっても動かすことができないという。プライスさんは息子に付き添うため渡米する予定で、約24時間以内に到着できることを望んでいる。
アワルタニさんは今も集中治療室(ICU)に入院中で、鎖骨や親指の骨折もあり、脊椎損傷のため体温の調整が難しい状態にある。脊椎損傷の治療を1~4週間受けた後に、数カ月のリハビリを行う見通しだという。
プライスさんによれば、ヨルダンのアブドラ国王も支援を申し出ている。
アワルタニさんはきっとまた脚を動かせるようになると信じていたが、医師から現時点でそれは不可能だと告げられたという。
ブラウン大学では27日夜、銃撃された3人のための支援集会が開かれ、アワルタニさんから届いたメッセージを教授が読み上げた。
「撃たれただけで有名になれるなんて、誰が知っていただろう」。アワルタニさんのメッセージはそんな冗談で始まっている。
「真剣な話に戻ると、これはもっと大きなストーリーの一部にすぎない」。パレスチナ研究のドゥマニ教授はアワルタニさんのメッセージ代読を続けた。
「この忌まわしい犯罪は、何もないところで起きたわけではない。私は1カ月ほど前、パレスチナ人はこうしたことが起きるたびに追悼集会を開くこともできないと言った」「私はこの大きな紛争の犠牲者の1人にすぎない」
アワルタニさんはさらに、もし撃たれたのがヨルダン川西岸だったとしたら「ここで私の命を救ってくれたような医療サービスは、きっとイスラエル軍に引き止められていただろう。私を撃った兵士は帰宅して、決して罪に問われない」と記している。このくだりが読み上げられるとブーイングが巻き起こり、「恥を知れ」と叫ぶ学生たちもいた。
イスラエルは、テロ組織が緊急車両に人や武器を隠して占領地から輸送していると主張している。
アワルタニさんは言う。「多くは私のことを知っているので、もっと現実的、直接的な痛みを感じてくれていると思う。けれどこんな攻撃は、この国であれ、パレスチナであれ、恐ろしい。だから皆さんが今日、私の回復を願ってろうそくをともしてくれる時、個人としての私だけでなく、抑圧された人々の誇り高き一員としての私に思いを寄せてほしい」
ドゥマニ教授が「(アワルタニさんは)闘い続け、全てのパレスチナ人が闘い続ける。自由と尊厳と平等の中で生きられる日まで」と締めくくると、集まった人たちから歓声が上がった。
警察によると、アワルタニさんと一緒にいた男性2人も、それぞれ上半身と下半身を撃たれてICUに入院していた。関係者によると、1人は27日に退院したという。