北京(CNN) 乗客乗員239人を乗せて2014年に消息を絶ったマレーシア航空370便をめぐり、中国人乗客の家族が起こした損害賠償訴訟の審理が27日、北京の朝陽区人民法院で始まる。
原告の1人、ジアン・フイさん(50)は10年近く、同機が何の痕跡も残さずに消えた理由について、答えを探し続けてきた。同機にはマレーシア旅行から戻るはずだった70歳の母が搭乗していた。
マレーシア航空370便は14年3月8日、クアラルンプールから北京へ向かう途中、針路を外れてインド洋上空で消息を絶った。この失踪は今も航空史上最大級の謎として残る。
提訴から7年以上。原告側は、この惨事によって家族を奪われただけでなく、金銭的な窮状に追い込まれた人もいると訴える。
「ほぼ10年たっても、(和解を拒む)家族には謝罪も一切の補償もない」。審理開始を前にCNNの取材に応じたジアンさんは憤る。
ジアンさんはマレーシア航空と保険会社、ボーイング社、およびエンジンの製造会社を相手取り、損害賠償や公式謝罪、家族に対する精神的支援の再開、および同機の捜索を続けるための基金創設を求めている。
訴えは中国の約40家族から起こされており、12月5日まで意見陳述が行われる見通し。ジアンさんも12月1日に陳述を予定している。
370便の搭乗者200人あまりのうち、153人は中国籍だった。
マレーシア航空との和解に応じた家族は250万人民元(約5200万円)の賠償金を受け取った。21年3月の時点では約90家族が和解を拒んでいたが、コロナ禍でその数は半分に減っている。