(CNN) 米イリノイ州シカゴで、湖に面した1棟のビルに渡り鳥が次々に衝突し、わずか一晩で1000羽以上が死ぬ出来事があった。専門家は、渡りの季節に困難な気象条件が重なったことに加え、問題のビルは「鳥に優しい」対策が欠如していたと指摘する。
渡り鳥は4日夜から5日朝にかけ、ミシガン湖に面したコンベンションセンター「マコーミックプレイス・レイクサイドセンター」のビルに次々に衝突。シカゴフィールド博物館は1000羽以上の死骸を回収した。
地元保護団体のアネット・プリンス代表によると、市の中心部ではさらに1000羽の死骸が回収された。ビルに衝突して傷つき、飛び去った後に死んだ鳥も多かったと思われる。
「ビルに向かって歩いて行くと、まるで死んだ鳥と死にかけた鳥、傷ついた鳥のじゅうたんのようだった」とプリンス氏は話す。
この晩は、冬の到来を前に南へ渡る鳥の数が特に多かった。渡り鳥は北または西からの風を待って飛ぶ。4日にその風が吹いたため、大量の渡り鳥が一斉に飛び立った。しかしこの日は霧がかかって雲が低く立ち込めていたため、低い高度を飛んでいた鳥たちが光やビルに惑わされて衝突したと思われる。マコーミックプレイスは、ミシガン湖を飛ぶ渡り鳥が遭遇する最初のビルの一つだった。
プリンス氏によると、渡り鳥の季節も夜間の照明を消さないビルは衝突を招きやすい。透明なガラスのパネルに覆われたマコーミックプレイスは、日中でも衝突して死ぬ鳥が後を絶たないという。
死んだ鳥の多くは、初めての渡りを経験する若い個体だったと思われる。
専門家は鳥の衝突を防ぐ対策として、模様などを入れて反射率を低くした「鳥にやさしい」ガラスの採用や、夜間の消灯などを促している。