(CNN) アゼルバイジャン国防省は19日、隣国アルメニアとの係争地ナゴルノ・カラバフで「対テロ作戦」を開始したと明らかにした。アルメニアのメディアや地元当局によると、中心都市のステパナケルトで激しい砲撃があったという。
アルメニアの国営メディアによると、大砲やミサイル、ドローン(無人機)による攻撃で子ども1人を含む5人が死亡、80人が負傷した。
約12万人のアルメニア系の人々が住んでいるナゴルノ・カラバフは、国際的にはアゼルバイジャンの領土と認められている。この地をめぐり、アルメニアとアゼルバイジャンの間では過去30年で2度戦争が繰り広げられ、最近の紛争は2020年にあった。
アゼルバイジャン軍が昨年12月にナゴルノ・カラバフとアルメニアをつなぐ唯一の道路を封鎖して食品の流通を阻止したことを受けて、同地域周辺ではここ数カ月、緊張が高まっていた。
20年の停戦協定のもとでナゴルノ・カラバフに派遣されているロシアの平和維持部隊は、新たな紛争の勃発を防ぐことを任務として課せられている。だがロシアは、アゼルバイジャンの継続的な攻撃に直面するアルメニア側を守るための介入ができない、または介入する気がないとして非難されてきた。アルメニアはロシアと長年同盟関係にある。
カラバフの当局者は砲撃が続く中、アゼルバイジャンとの即時交渉を求めたことを明らかにした。
これに対し、アゼルバイジャンの大統領府はカラバフのアルメニア人と話し合う用意はあるとしながらも、声明で「対テロ作戦を止めるには、アルメニア系の武装集団は降参して全ての武器を放棄し、非合法の体制は解散しなければならない」などと迫った。