(CNN) 欧州連合(EU)がポーランドなど中東欧の加盟国5カ国へのウクライナ産穀物の輸入を禁止していた措置が15日に期限を迎え、EUは延長しないと発表した。これに対し、5カ国のうちポーランドとハンガリー、スロバキアは17日までに、独自に禁輸を続ける方針を明らかにした。
輸入禁止の措置は、この3カ国にブルガリアとルーマニアを加えた5カ国の農家を、安価なウクライナ産穀物の流入から保護する目的で、5月に導入された。
ウクライナは世界有数の穀物生産国だが、ロシアの妨害で黒海経由の輸出が難しくなり、中東欧諸国を通した輸出に依存していた。このため、禁輸措置の解除を強く求めてきた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、EUの禁輸解除を歓迎すると述べた。
一方ポーランド国営PAP通信によると、同国のモラビエツキ首相は、EUの同意がなくても禁輸措置を延長すると言明。EU指導部の意見には従わず、「ポーランド農家の利益のために」禁輸を続けると語った。
ハンガリーのオルバン首相も16日、SNSのX(旧ツイッター)を通し、「ウクライナからアフリカ向けに輸出される農産物が中欧の市場にあふれている。EUの官僚はまたしても、欧州の農家が直面する欧州の問題に見て見ぬふりをしている」と批判。ポーランド、スロバキアとともに、国家単位で禁輸を延長すると述べた。
スロバキアの農業省は15日、フェイスブックへの投稿を通し、「国内市場」保護のために延長すると発表した。
これに先立ち、EUのドンブロフスキス欧州委員会上級副委員長は加盟国に対して、ウクライナからの穀物輸入については新たな合意に沿って努力し、単独での措置を控えるよう呼びかけていた。