(CNN) ウクライナ東部ドネツク州で、ロシアに占領されていた村の動物園から救出されたツキノワグマを、英スコットランドの動物園が引き取ることになった。
ウクライナの救護団体によると、ウクライナ軍兵士らが昨年10月、ロシアから奪還した村ヤンピルの動物園で12歳のツキノワグマを保護し、地名にちなんで「ヤンピル」と名付けた。
園内で飼育されていた約200頭の動物は大半が死んでいた。ヤンピルもおりの近くで起きた砲弾の爆発で脳に損傷を負い、そのままではあと数日の命だったという。
ヤンピルは保護された後、ウクライナからポーランドへ運ばれ、さらにベルギー北東部の救護センターへ移ってストレスケアと健康観察を受けている。
来年早々にも、スコットランドの首都エジンバラから西へ約30キロのファイブ・シスター動物園で新生活をスタートする予定だ。
同園の主任獣医師ロマン・ピッツィ氏はこのほど、飼育責任者とともに救護センターを訪ね、ヤンピルの囲いの前からビデオ通話でCNNとのインタビューに応じた。
ピッツィ氏は、ツキノワグマのように知能の高い動物は多く、人間と同様にトラウマ体験の長期的な後遺症に苦しむことがあると指摘。ヤンピルが抱えるトラウマに合った保護環境を必ず用意したいとし、そこで幸せに暮らせることを願うと述べた。
同園はこれまで、サーカスなどに使われた動物を保護してきた。ヤンピルのエリアを新設するのに約20万ユーロ(約3200万円)の費用がかかるとして、寄付を呼び掛けている。