(CNN) 今年6~8月の世界の平均気温は、過去最高を記録した2019年を大幅に上回り、観測史上最も暑い夏となったことが確認された。欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」が発表した。
C3Sのデータによると、この夏の世界平均気温は16.77度で、1990~2020年の平均より0.66度高かった。
さらに1940年の観測開始以来、最も高かった2019年の記録を0.3度近く上回った。これまでの記録更新が0.01度単位だったのに比べ、大幅な更新となった。
今年の夏は米国や欧州、日本など北半球の広い地域が記録的な猛暑に見舞われ、海水温も前例のない高さに達していた。記録更新は避けられないとの見方が、科学的データで裏付けられた形だ。
世界平均気温は今年の6月、7月とも各月の過去最高を記録していた。C3Sの新たなデータによれば、8月も16.82度と、今年のほかの月との比較では7月に次いで高く、8月として過去最高だった16年を0.31度上回った。
国連のグテーレス事務総長はC3Sのデータについて、「地球はたった今、観測史上最も暑い夏を経験した。気候崩壊が始まっている」と述べた。
C3Sによれば、7月と8月の気温はともに産業革命前と比べた上昇幅が1.5度のラインに到達した。気候変動問題の研究者らはこれまで、気候変動の破壊的な影響を避けるためには上昇幅を1.5度以下に抑えるよう警告してきた。
研究者らが注目しているのは長期的な気温上昇だが、こうした一時的な記録も、1.5度の上昇が何をもたらすかを予測する重要な手掛かりとなる。
世界気象機関(WMO)のターラス事務局長は声明で、今年の夏に北半球を繰り返し襲った熱波が破壊的な山火事や健康被害をもたらし、日常生活を混乱させ、環境に永続的な損害を与えたと指摘した。
南半球でもオーストラリアやアフリカ南部の国々、南極大陸などで異例の暖冬となり、平年の気温を大幅に上回った。
また、海水温の記録的な上昇によってハリケーンや台風の威力が増した。
6月の北大西洋では、海水温が平年を最大5度も上回った。7月末から8月末までの海水温は連日、16年の最高記録を塗り替える高さとなった。
年間を通した世界平均気温は今のところ、16年の記録が観測史上最高だが、今年はすでにその記録まであと0.01度に迫り、最終的に突破する可能性もある。
さらに来年は、エルニーニョ現象の影響で今年をしのぐ暑さになるとも予想されている。
C3Sのバージェス副所長は声明で「科学的な証拠は決定的だ。私たちが温室効果ガスの排出をやめない限り、気候の記録更新は続き、異常気象は激しさと頻度を増して、社会と生態系に影響を及ぼすだろう」と警告した。