米南西部、熱帯暴風雨「ヒラリー」で記録的大雨

カリフォルニア州パームスプリングスで起きた冠水被害の様子=20日/AIOFILMZ

2023.08.22 Tue posted at 11:01 JST

(CNN) ハリケーンから熱帯暴風雨に勢力を弱めた「ヒラリー」が、メキシコと米南西部に大雨と暴風をもたらした。

ヒラリーは20日、熱帯暴風雨に勢力を弱めてメキシコに上陸した後、カリフォルニア州南部を通過した。21~22日にかけて、さらに雨が続くと予想されている。

国立ハリケーンセンターによると、21日早朝には風速約16メートルの風をともない、カリフォルニア州サンディエゴから北へ約630キロ離れたネバダ州中部を進んだ。ネバダ州を熱帯暴風雨が直撃したのは、観測史上初めて。

カリフォルニア州南部は記録的な大雨に見舞われた。パームスプリングスでは24時間で、年間の総雨量に相当する約109ミリの雨が観測され、幹線道路が閉鎖された。

州中部のデスバレー国立公園でも約43ミリと、過去最多に近い雨量に達した。園内の中心部にある集落ファーネスクリークは8月の平均雨量5ミリに対し、16ミリの雨が降った。

ロサンゼルス中心部では約39ミリの雨を記録した。

ネバダ州北部リーキャニオンの雨量は220ミリを超え、1906年に観測された約111ミリの最多記録を大幅に上回った。

現在もカリフォルニア州南部からアイダホ州北部にかけての住民1600万人以上を対象に、洪水注意報が出ている。国立気象局(NWS)は、通常なら起きない場所で鉄砲水が発生する恐れもあるとして注意を呼び掛けた。さらに山沿いなどでは21日にかけ、強い風が続くとみられる。

州間高速道路10号線は水や泥に覆われ、車の通行に遅れが出た=21日

ヒラリーの中心は20日午後8時ごろ、カリフォルニア州ロサンゼルス中心部の南東約16キロを通過した。ロサンゼルス郡とその西側のベンチュラ郡では同日夜に鉄砲水や土砂崩れの被害が相次ぎ、多くの車が立ち往生した。ただしNWSによれば、ロサンゼルスの風雨は21日午前までに峠を越えた。

同州南部の各地で洪水や土砂崩れ、倒木などの被害が報告された。サンディエゴでは20日、川沿いで少なくとも9人が救助された。ネバダ州でも道路が激流と化し、車が立ち往生した。

停電情報サイトによると、カリフォルニア州で4万8000世帯あまりが停電中。ロサンゼルス市内だけで1万8000世帯に上り、復旧作業が続いている。同市当局者は21日、一時は4万1000世帯が停電したと述べた。

一方メキシコでは、ヒラリーの被害で少なくとも1人が死亡した。連邦当局によると、同国では停電の被害が約38万世帯に及んだが、21日までに約8割が復旧した。

米南西部、熱帯暴風雨「ヒラリー」で記録的大雨

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