ペルー奥地で発見の新種ヘビ「ハリソン・フォーディ」と命名、ヘビ嫌いのインディにちなみ

「T・ハリソンフォーディ」はペルーの湿地で発見された/E. Lehr

2023.08.17 Thu posted at 20:00 JST

(CNN) 4人の研究者が険しい地形をかき分け、麻薬密売組織らしい相手と遭遇して命の危険にさらされながら、南米ペルーの科学的に未開拓の地を探検した。

この旅のクライマックスは新種のヘビの発見だった。ヘビは映画「インディ・ジョーンズ」シリーズの主演俳優ハリソン・フォードにちなんで「T・ハリソンフォーディ」と命名された。研究チームが15日、ドイツの学術誌に発表した論文で明らかにした。

論文の筆頭筆者で米ウェズリアン大学のエドガー・レアー教授は当時を振り返り、「この新種をハリソン・フォードにささげたらどうだろう。『インディ・ジョーンズ』のキャラクターは(ヘビが)嫌いだからなお面白い」と考えたと話す。

このヘビはペルーのオティシ国立公園で発見された。体長は約45センチで、褐色をしている。

レアー氏は100種を超す新種を発見している爬虫(はちゅう)両生類学者で、生物多様性に富むペルー探検をいつも楽しんでいる。しかしリマ自然史博物館の研究者と共に行った今回の探検では、予想外の出来事に遭遇した。

オティシ国立公園は、いずれも米国務省が渡航危険地域に分類しているペルーのジュニン地域とクスコ地域にまたがる。さらに、ペルーのコカ生産と麻薬密売の中心地にも近い。

国立公園の南部は地形があまりにも厳しかったことから、探検隊は3~4週間分の物資を積んでヘリコプターで現地入りした。オティシは「ペルーで最も科学的調査が進んでいない国立公園」と形容される。

有名人の名前にちなんで新種に名前を付けることは、一般の人々の意識を高めるという利点もあるとレアー教授は指摘している

しかし危険が大きかったのは大自然よりも人間の方だった。

探検隊は、同地で発見した野営地について、当初は放棄されたものだと考えた。ところが自分たちの無線に割り込む別の男たちの声が聞こえた。近くに人がいる兆候だった。続いて自分たちを偵察しているドローンを発見し、自分たちの野営地を突き止めようとしている見知らぬ相手の会話を耳にした。

明らかに危険だったとレアー氏は言う。一行はすぐに救助を要請。悪天候に阻まれ、軍のヘリコプターが迎えに来るまでには4日を要した。

「脱出できてよかった」「探検は1週間短縮しなければならなかったが、恐らく戻って来られなかったかもしれない」とレアー氏は胸をなでおろす。

探検隊は身の危険にさらされながらも地図に載っていなかった滝を発見して命名し、新種のトカゲも発見した。


新種のヘビの発見についてハリソン・フォードもコメントを寄せた/Daniel Leal/AFP/Getty Images

新種のヘビについては、体長40.6センチの成体のオスの標本を持ち帰った。体は金と銅のうろこに覆われており、ペルー南部の高地の湿地に生息していると思われる。レアー氏は遺伝子解析で新種だったことを確認した。

フォード演じる映画の中のインディ・ジョーンズはヘビ嫌いだが、実際のフォードは自然保護活動に熱心で、非営利の保護団体「コンサベーション・インターナショナル」の副代表を務る。

フォードは同団体に寄せた声明で、自分の名前のヘビについて「ほとんど一日中、汚い水のプール脇で日向ぼっこをしている。きっと60年代初めには友達になっていただろう」と冗談交じりにコメント。「自然界にはまだ学ぶべきことがあまりに多いと再認識させてくれる。そして人間が信じられないほど広大な生物圏のほんの一部にすぎないことも。この惑星では全ての運命が絡み合っていて、今まさに、100万種が忘れ去られる瀬戸際にある。私たちの存在意義は、自然との壊れた関係を修復し、生命を支える場所を保護することにある」と指摘している。

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