ポーランド、数十年で最大規模の軍事パレード 欧州で影響力拡大する中

軍事パレードで披露される米国製の「エイブラムス」戦車/Czarek Sokolowski/AP

2023.08.16 Wed posted at 08:19 JST

(CNN) ポーランドは15日、ここ数十年で最大規模の軍事パレードを実施した。北大西洋条約機構(NATO)に加盟する同国とロシアの主要同盟国であるベラルーシとの国境で緊張が高まる中、防衛力を誇示する機会となる。

国防省によると、「ポーランド軍記念日」に当たる15日の祝賀行事では、ポーランド軍および外国軍の装備品200点、航空機92機、要員2000人などが披露される。

パレードにはポーランド軍が保有する最新鋭技術の一部も登場する。具体的には米国製のM1A1「エイブラムス」戦車、韓国のK2戦車やK9自走榴弾(りゅうだん)砲、高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」、クラブ自走榴弾砲、ポーランドの防空システムの一端を担う米国製地対空ミサイルシステム「パトリオット」などだ。


ドゥダ大統領も姿を見せた/Kacper Pempel/Reuters

ロシアが2014年にウクライナ南部クリミア半島を併合して以降、近年のポーランドは欧州有数の軍事力を有する国として台頭してきた。ロシアによる全面侵攻後、対ウクライナ支援で重要な役割を果たしたことで、外交的な影響力も拡大しつつある。

先週には、ポーランドは東部国境に数千人規模の追加部隊を派遣する方針を発表。ロシアの民間軍事会社ワグネルの傭兵(ようへい)のベラルーシ駐留をめぐり懸念が高まる中での動きとなった。

米軍のF35とポーランド軍のF16もパレードに参加

ポーランドはウクライナやベラルーシのみならず、ロシアの飛び地カリーニングラードとも国境を接する。専門家の間では、ポーランドは大がかりな軍事力の誇示を行うことで、ロシアとベラルーシが理解を迫られるメッセージを送ろうとしているとの見方が出ている。

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の研究員、エドワード・アーノルド氏は「これはある種、ソ連的なやり方だ。ロシアは5月8日に軍事パレードを行い、ベラルーシや北朝鮮、イランもパレードを実施する。彼らの言葉を送り返しているようなものだ」との見方を示した。

一方で、ポーランドは2カ月後に大きな選挙を控える。ポーランド政府にはロシアやその同盟国に能力を誇示するだけでなく、自国民に安全保障への決意を示して安心させようとする狙いもあると、アーノルド氏は指摘する。


軍楽隊も登場/Kacper Pempel/Reuters

与党「法と正義」は冷戦後のポーランドで初となる3期連続の政権維持を狙うが、野党「市民プラットフォーム」連合に対して決定的なリードを保つのに苦労する状況にある。

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