(CNN) ウクライナのレズニコウ国防相はこのほど、ロシアが占領するクリミア半島や、同半島とロシア本土をつなぐケルチ橋への攻撃を継続する考えを表明した。遅れが目立つ反転攻勢については、計画がスケジュール通りに進んでいないことを認めた。
ロシアがここ1週間の間にウクライナ南部の港湾都市オデーサや周辺地域を攻撃する中、ウクライナはクリミア半島への攻撃を続けている。25日にはウクライナのドローン(無人機)が弾薬庫を攻撃。その1週間前には無人艇によるケルチ橋への攻撃が行われた。
レズニコウ氏はCNNとのインタビューで、「これらの目標はいずれも正式な攻撃目標だ。ロシアの我々に対する戦闘能力を低減させ、ウクライナ国民の命を救うことにつながるからだ」と指摘した。
ウクライナの目的は橋を恒久的に使用不能にすることかとの質問には、「敵の補給線を破壊し、より多くの弾薬や燃料、食料などを入手する選択肢の阻止を図るのは通常の戦術だ」と答えた。
レズニコウ氏はまた、ロシアが「テロ国家」として活動していると非難した。
5夜連続となるロシアのオデーサ攻撃では、古い歴史を持つ市中心部で20カ所以上の名所が損傷した。このほか、ドローンによる港湾インフラへの攻撃も行われ、重要な穀物在庫が狙われた。
一連の攻撃に先立ち、ロシアはウクライナの小麦の国際市場への輸出を可能にする穀物合意から離脱。世界の食料危機に拍車をかけている。
レズニコウ氏は22日に行われたインタビューで、「ばかげたやり方だが、これは現実だ。彼らがテロ国家である新たな証拠だ」と指摘した。
ウクライナの防空部隊がここ数週間、ロシアの新たなオデーサ攻撃への対応に苦慮する中、南東部の州ではウクライナがロシアの固い守備を打ち破ろうと試みている。
ただ、欧米諸国はウクライナ軍の強化を目的に数十億ドル規模の支援を供与し、兵士数百人の訓練を進めているものの、ウクライナの過酷な反転攻勢は今のところ大きな戦局打開にはつながっていない。
しかし、レズニコウ氏は作戦が「計画通り」進んでいると主張。「我が軍の将官や指揮官は戦場で本当の戦況を目にしている。そしてやはり、我々にとって主要な価値を持つのは兵士たちの命だと改めて指摘しなければならない」と述べた。
一方で、反攻の計画が予定より遅れているかとの質問には、その通りだと認めた。
レズニコウ氏は、もしウクライナ軍がクリミア半島とドンバス地域をつなぐアゾフ海沿岸のロシアの防衛線に穴を空けることができれば、ウクライナにとって「良い結果」になると指摘。
「我々はロシア人ではなく、我が軍の兵士の命のことを考える必要がある。ロシアは兵士を大砲の餌に使っている」とも述べた。
ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟が承認される時期については、NATO結成75周年を祝う首脳会議が米ワシントンで開催される来年7月になりそうだとの予想を示した。
来年夏までには戦争は終わっていると思うかとの質問には、「その通りだ。我々はこの戦争に勝つ」と即答した。
ウクライナ国防相、「東部の盾に」