(CNN) フランス・パリ郊外で17歳の少年が警官に射殺された事件をきっかけに始まった暴動は、事件から1週間が過ぎた今も国内各地で続き、当局は多数の警官を送り込むなど厳しく対応している。少年の祖母は2日、CNN提携局とのインタビューで暴力の停止を訴えた。
祖母の「ナディア」さんはインタビューで「学校やバスを壊すのはやめて」「もううんざりです」と呼びかけた。
各地で投入された警官と憲兵は、2日夜だけで4万5000人を超えた。
仏内務省によると、抗議行動が始まってからこれまでの拘束者は2000人以上。そのうち157人は、2日夜から3日朝にかけて拘束された。
ダルマナン内相は1日、拘束者の多くが未成年で、平均年齢は17歳だと指摘。暴動の参加者らを「悪党」と呼び、厳しい対応を主張した。
少年を射殺した警官は殺人罪に問われている。募金サイト「ゴーファンドミー」で警官の家族を支援するために開設されたページには、3日までに100万ドル(約1.4億円)を超える寄付が集まった。
少年の母親を支援するページには約26万3000ドル(約3800万円)が寄せられている。
少年の葬儀は1日、地元のモスク(イスラム教礼拝所)で厳戒態勢のなか執り行われた。
マクロン大統領は暴動の原因究明に向けた手続きを開始し、3日に上下両院のトップ、4日には各地の市長220人と会談すると伝えられた。
政府は破損した防犯カメラの装置を今夏中に修理するため、推定2000万ユーロ(約3.1億円)の支出を予定している。
パリ南郊のライレローズ市では2日午前1時半ごろ、車に乗ったグループがジャンブラン市長の自宅に突入してその車に火を付け、市長の妻と幼い子ども2人のうち1人が負傷した。地元検察は殺人未遂事件として調べている。
ジャンブラン氏は当時、市役所に泊まり込んでいて留守だった。就寝中だった妻子は裏庭から逃げたが、妻はこの時にすねの骨を折ったとみられる。
検察によると、現場からコーラのびんに入った燃焼促進剤が見つかった。薬剤の種類は不明。当局が犯行グループの行方を追っている。
同市内では3日、ジャンブラン氏への連帯を表明する支持者ら数百人の行進があった。
中国外務省は2日、仏南部マルセイユで中国人観光客のグループを乗せたバスの窓が割られ、複数の軽傷者が出たとして、渡航者に警戒を呼び掛けた。バスが襲われた日時や負傷者の人数は不明だが、グループはすでにフランスを後にしたという。
マルセイユの中国総領事は仏当局に正式に抗議し、渡航者の安全確保を求めた。
フランス各地で暴動