ウガンダ・カンパラ(CNN) アフリカ東部ウガンダの首都、カンパラにある大聖堂。ジョン・アウォディ牧師は日曜の礼拝の合間ごとに「同性愛は悔い改めなければならない罪」であり、「神の秩序」に反すると説く。
ウガンダで5月に反同性愛法が成立して以来、アウォディ牧師のこうした発言は特に顕著になった。
同法に基づき同性婚は禁止され、同性愛行為には終身刑、未成年や弱者との性行為、HIV陽性者の性行為、近親者との性行為を含む「加重同性愛行為」に対しては死刑が適用される。
「私たちは人間としての人間性を奪われ、市民として扱われなくなった。私たちは文字通り犯罪者になり、自分たちが家と呼ぶ空間で違法な存在になった。ウガンダで暮らす同性愛者にとって安全な場所はどこにもない」。女性団体共同創設者のジョアン・アメックさんはそう訴える。
アメックさんは同団体を通じて同性愛やバイセクシュアルの女性のための安全な空間やシェルターを開設したが、自身も7月末までに賃貸アパートからの立ち退きを迫られているという。家主ははっきりとは言わないものの、理由は自分の性的指向や同性愛者支援活動にあるようだとアメックさんは推測する。
実家に帰る選択肢はないという。「母は私の側に立ってくれるけれど、それは離れた所から。私の立ち退きについて話をすると、母は『戻っておいで』とは言ってくれず、『それは残念、あなたのために祈りをささげる』と言っただけだった。祈りが助けになるとでも?」とアメックさんは問いかける。
反同性愛法が制定されて以来の数週間で、ウガンダではLGBTQの人たちが公の場で屈辱を受ける内容の不穏当な動画が出回り、敵対感情の高まりをうかがわせている。
市民団体のSRTによると、反同性愛法に起因して、同性愛と疑われた人に対する人権侵害が少なくとも300件、ウガンダ国内で報告されている。SRTは同法の差し止めを求める中で、人権侵害が確認された50件のリストを裁判所に提出した。
この中には立ち退きや、いわゆる「矯正」レイプ、追放、解雇、脅迫、暴行の脅迫、集団暴行などの事案が含まれる。
これに対して同法案を提出した野党政治家は、人権侵害の報告を「でっちあげ」として一蹴。「これは罪のない法律だ。誰も標的にされていない」と強調した。
トランスジェンダーの男性、ナッシュ・ウォッシュ・ラファエルさん(30)は、ムセベニ大統領の署名で反同性愛法が成立した夜、何者かに襲撃された。足首を骨折し、治るまでの間は松葉杖で歩いている。
ウガンダのムセベニ大統領/Abubaker Lubowa/Reuters/File
性別を転換して以来、襲われたのはこれが9回目だったというラファエルさん。人生を「地獄」と形容し、自分とパートナーの写真がリークされて出回った時には自殺しようとしたと打ち明けた。
「自分の命を絶つべきだと感じる。もう守るものが何もなくなったから。ホルモン投与は2年目になり、来年はトップ手術(乳房や胸の組織を切除する手術)を受けるはずだったけれど、何もかも打ち砕かれ、金銭的余裕さえなくなった」
襲撃を恐れて日中は外出できず、仕事は女性の服装をしていないという理由で解雇された。ドバイやサウジアラビアで簡単な仕事をしたり、首都カンパラで焼き菓子を売り歩いたりしたものの、自分を隠し通すことはできなかった。
イスラム教徒の家族とは縁を切られ、唯一連絡を取り合っているのは6人きょうだいのうち一番下の妹のみ。「彼らを創造したのと同じ神が、なぜ私をこんな風に創造したのか」とラファエルさんは声を震わせた。
生活は「地獄」、LGBTQが暴行や人権侵害の被害に ウガンダ