(CNN) インド海軍は22日までに、保有する空母2隻の打撃群による統合演習をアラビア海で6月第3週の前半に実施し、成功したと発表した。
報道発表文で、インド洋周辺あるいはより遠方の海域などへ「圧倒的な海上戦闘能力」を投射出来る能力を示したと誇示。演習の成功は制海権を維持しながら海上から展開し得る航空戦力の最重要な役割を強力に証明したとも主張した。
軍事専門家は、空母2隻の打撃群が合同演習を遂行出来る能力を見せつけたのは近年では米海軍しかなく、インド海軍にとっては大きな能力の示威になるとみなした。米海軍の元将校は「インド海軍の若返りを象徴する」とも評した。
統合演習を主導するインドの空母2隻/Sanjay Atri/Indian Navy
今回の演習に参加した空母は「ビクラマディティヤ」と「ビクラント」。航空機35機以上、打撃群を構成する多数の艦船や潜水艦も加わった。
ビクラントはインド初の国産空母で昨年9月に就役。ビクラマディティヤはロシアから買い取ったもので2013年に投入されていた。
ビクラントが就役する以前の3年間で国産空母を実際の戦力に加えたのは英国と中国だけだった。ただ、この2国は空母2隻以上を保有しているが、両空母打撃群による統合演習を達成したことはないともされる。
シンガポールの南洋理工大学の国際問題大学院の研究員は、インド海軍の主要な競合相手であり世界最大規模の力を持つに至った中国海軍と比べれば、インド海軍は空母運用の作戦で数十年間の経験と技量を持つ優位な材料をおそらく握っていると分析した。
中国は3隻目の空母を建造中だが、まだ実戦任務には参加していない。
インドの最初の空母誕生は1961年で、2隻目を追加したのは87年。
しかし、英国際戦略研究所(IISS)の海軍戦力分析などの専門家は、インドの2空母による統合演習の今回の成果を踏まえながらも克服すべき課題があるとも言及。実際の作戦遂行能力には疑問符がつけられるとし、今回の演習に参加したとする両空母搭載の戦闘機数が提供された画像で見る限り比較的少ないことに注意を向けた。
「航空機の収容能力や両空母自体の現段階での運用能力の限界を示唆しているかもしれない。より多くの航空機の積み込みが今後可能になることをうかがわせている」ともした。
インドは近年、日米豪との安全保障上などの協力枠組み「クアッド」を含めインド太平洋地域の海軍との協力態勢の強化に努めている。クアッド加盟国はインドが主導する年次の海軍演習にも加わっており、インド海軍はこれら演習を通じて作戦遂行や遠洋任務での知見を広めているとの指摘もある。