(CNN) 毎日昼寝をする習慣のある人は、加齢にともなう脳萎縮のペースが遅いとの研究結果が報告された。
英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)とウルグアイ共和国大学の研究者らが、英国で2006~10年に40~69歳の健康情報を収集した大規模なデータベース「UKバイオバンク」から、3万5080人のDNAサンプルと脳スキャンを分析。遺伝情報を活用する「メンデルの無作為化」と呼ばれる手法で関連を調べ、19日に睡眠医学の専門誌「スリープ・ヘルス」に発表した。
具体的には、昼寝の習慣にかかわる遺伝子に注目し、遺伝的に昼寝をする傾向があるタイプとそうでないタイプの間で、脳の健康状態や認知機能検査の結果を比較した。
その結果、昼寝をするグループはしないグループに比べ、脳の体積の減り方が2.5~6.5年分遅くなっていることが分かったという。
チームのメンバーは研究結果について、短時間の昼寝は高齢者の脳の健康を維持するカギとなる可能性を示唆していると述べた。
研究責任者を務めたUCLとウルグアイ共和国大の研究者、バレンティナ・パス氏はCNNとのインタビューで、過去の研究では午後の早い時間に5~15分の昼寝をするのがよいとされていたと指摘する。
だが一方で、高齢者の頻繁な昼寝は初期の認知症の兆候だとする研究結果も報告されている。
昨年3月にアルツハイマー病の専門誌に掲載された研究では、毎日1回以上または1日に1時間以上昼寝をする人はそうでない人に比べ、アルツハイマー病の発症リスクが40%も高いとされた。
同7月には、昼寝の習慣があるグループはそうでないグループに比べ、高血圧になるリスクが12%、脳卒中のリスクが24%高いという研究結果が発表された。
専門家らはこうした報告について、昼寝自体に害はないものの、夜によく眠れないせいで昼寝をする人が多く、それだけでは睡眠を十分に補えないのではないかと指摘。昼寝は睡眠障害を示す警告かもしれないとしたうえで、睡眠障害はストレスやホルモンの乱れを引き起こし、これが肥満につながって、高血圧や糖尿病など心臓病のリスク要因をもたらすと説明していた。