スコットランドヤマネコを絶滅から救え 施設で育った数頭、初めて野生に

保護施設で育てられた若いスコットランドヤマネコ数頭が、初めて野生に放された/Saving Wildcats

2023.06.16 Fri posted at 17:14 JST

(CNN) 英スコットランドの保護施設で育てられた若いスコットランドヤマネコ数頭が、このほど英国で初めて野生に放された。ヤマネコ保護プロジェクトは、英スコットランド王立動物園協会が保護団体や政府機関と連携して展開しており、今後数カ月で計22匹を野生に戻すことを計画している。

「ハイランド・タイガー」とも呼ばれるスコットランドヤマネコは絶滅の瀬戸際にあり、2010~13年に実施された調査によると、野生に残された個体数はわずか115~314頭のみ。国際自然保護連合(IUCN)の専門家グループは19年、「生き延びられるヤマネコの集団は、スコットランドのどこにも残っていない」と結論付けた。

スコットランドヤマネコはイエネコより大きくがっしりした体格で、しま模様の茶色い毛とフサフサの尾をもち、耳は横に突き出ている。

およそ9000年前、欧州から英国に到来し、19世紀には生息地の減少などによってイングランドとウェールズでは絶滅して、わずかな個体がスコットランドに残った。

ヤマネコたちはスコットランドの地名にちなみ「ハイランド・タイガー」の異名をとる

今回放されたのは、スコットランド北部の山間部にあるケアンゴームズ国立公園内の保護区。同地には以前からヤマネコが生息していて、イエネコは少ない。

飼育施設ではこれまで、野生で生きるために必要な本能や狩りの能力を身に付けさせようと尽力してきた。ネコたちはケアンゴームズに近い施設の一般の人が立ち入らない場所で育てられ、人との接触は極力少なくした。

子ネコは生後9カ月までに親ネコから離して広い飼育舎に移し、最終準備期間を経て野生にかえした。保護プロジェクトでは今後3年間で約60頭を放す計画。ヤマネコがケアンゴームズで繁殖し、やがてスコットランド全土で個体数が回復する日を関係者は夢見ている。

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