ロシアで「革命」起きうる、敗退続けば ワグネルのトップが発言

ロシア軍との激しい戦闘が行われているバフムート近郊で発砲するウクライナ兵士=15日、ウクライナ・ドネツク州/LIBKOS/AP

2023.05.25 Thu posted at 09:49 JST

(CNN) ロシアの民間軍事会社ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏は、ウクライナでの戦争でロシアがつまづきつづければ、新たな「革命」がロシアを揺るがしかねないとの見方を示した。ロシア軍の準備態勢も痛烈に批判し、軍のヒエラルキーの内部で進む分断をさらに露呈する形となった。

プリゴジン氏は親ロシア派ブロガー、コンスタンティン・ドルゴフ氏とのインタビューで、ウクライナに忠誠を誓う部隊がロシア領内に侵入しても、ロシア軍はそれに対抗する準備ができていないと指摘した。

一方、ウクライナ軍の能力の高さを称賛。ロシア政府に対し、高い代償を払う長期の戦争を回避したければ戦争への取り組みを拡大すべきだと訴えた。

プリゴジン氏は「ウクライナは世界最強の軍隊の一つだと思う」と述べ、「しっかり組織化され、しっかり訓練され、情報収集も最高レベルだ。彼らはどんな軍のシステムも、ソビエトや北大西洋条約機構(NATO)と同様の成功をもって運用できる」と続けた。

数日前には反プーチンを掲げるロシア人の集団がウクライナに隣接するロシア南西部ベルゴロド州に侵入し、ロシア側が恥をかく事態となった。国内で影響力を持つ軍事アナリストの間でも怒りや困惑が広がっており、プリゴジン氏もロシア軍が「どんな形態であれ対抗する準備が全くできていない」と痛罵した。

「ここで我々が戦争の真ん中で敵であるウクライナ側と近くにいる間、ロシア義勇軍団はやすやすと入り込み、戦車や装甲兵員輸送車で何の反応も受けずに(国境を)突破し、動画まで撮る」(プリゴジン氏)

プリゴジン氏(写真中央)はワグネルは数カ月に及ぶ戦闘の末、バフムートを占領したと主張した

プリゴジン氏はこれまでもロシア軍のヒエラルキーをたびたび批判。軍指導部に対する権力闘争で勝って、ウクライナ東部での地上作戦をリードしようと試みてきた。今月にはワグネルの「数万人」の死傷者は弾薬不足が原因だとして国防省幹部を非難した。

だが、今回のドルゴフ氏への発言は自由奔放なプーチン氏支持者である同氏の過去の発言と比べても、最も厳しい警句となった。プリゴジン氏はこれまでと同様、ウクライナを負かすために戦争への取り組みを強化し、プーチン氏に「戒厳令や新たな動員を宣言」するべきだと忠言。さらに、ロシアの敗退が続けば「こうしたすべての分断は1917年のような革命とよばれるものに行き着きうる」とも発言した。

「まず兵士が立ち上がる。その後は、彼らの愛する人々が立ち上がる。その数が数百だと思うのは間違いで、既に数万人はいるだろう。殺された者の親族だ。そして今後も数万人が加わるだろう。我々はそれを避けられない」(プリゴジン氏)

ウクライナ東部の激戦地バフムートを巡る戦いでは、主にワグネルの部隊から構成されるロシア側の軍が数カ月にわたり同市を掌握しようと苦しい戦闘をしてきた。戦略上の重要性は相対的に劣るこの都市で、ロシアは甚大な被害を出した。同国の地上作戦も昨年秋にウクライナ軍の反攻が成功して以降、行き詰まった状態が続いている。

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