日本で服役の米兵、解決に向け家族がバイデン大統領訪日に望み

米海軍大尉のリッジ・アルコニス受刑者/US Navy

2023.05.19 Fri posted at 11:15 JST

(CNN) 日本で死亡事故を起こして服役している米海軍大尉のリッジ・アルコニス受刑者について、主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席するジョー・バイデン米大統領の訪日よって状況が進展することに家族や友人が期待を寄せている。

アルコニス受刑者は妻に宛てた4月30日付の手紙の中で「あまり調子がよくない」と訴えていた。「最近は壁と鉄格子のせいで自分の監房が一層狭くなったように思える」「私は今、人間よりも動物に近いと感じる」

この手紙をCNNに見せた妻のブリタニー・アルコニスさんは18日、「夫からのこれまでの便りの中で一番落ち込み方が大きかった」と語った。

アルコニス受刑者は2021年10月、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪で禁錮3年の実刑を言い渡された。同年5月に起こした自動車事故では2人が死亡、1人が負傷していた。

アルコニス受刑者は家族で富士山へ出かけて戻る途中、運転中に急性高山病を起こして意識を失ったと主張していた。しかし裁判所はこの主張を認めず、22年7月の控訴審でもアルコニス受刑者側の訴えを退けた。

アルコニス受刑者の家族は、この事件の扱いに関して日米間の地位協定違反があったと主張し、実刑を免れるため、被害者の家族に和解金の支払いを申し出たとしている。

家族側は今、アルコニス受刑者を欧州評議会(COE)の受刑者移送条約に基づいて米国へ移送し、米国で服役を続けさせることを求めている。

妻のブリタニーさんは、米政府の一部は解決を目指して「信じられないほど積極的に」取り組んでいるとする一方で、米国防総省や日本政府は生産的な関与を行っていないと訴える。米国務省は、アルコニス受刑者が不当に拘束されたとは認定していない。

このためブリタニーさんは、バイデン大統領の広島訪問で前向きな動きがあることを望むとしながらも、解決に向けた大きな期待はしていないと話した。

一般教書演説に招かれた妻のブリタニー・アルコニスさんがバイデン大統領と言葉を交わす場面があった=2月7日、米ワシントンDCの国会議事堂

ブリタニーさんによると、バイデン大統領は1月にホワイトハウスで行った岸田文雄首相との会談でアルコニス受刑者の問題を取り上げ、会談後に「この問題の解決を試みる」作業部会を設置することで日米が合意したという。

2月には、ブルース・ウェスターマン下院議員(共和党)のゲストとして一般教書演説に招かれたブリタニーさんが、バイデン大統領と言葉を交わす場面があった。

18日に行われた岸田首相との会談でバイデン大統領がこの問題を取り上げたかどうかについてCNNが質問したところ、ホワイトハウス報道官は、ホワイトハウスの発表に付け加えることはないと返答した。発表内容にアルコニス受刑者に関する言及はなかった。報道官は、米高官が解決を目指し、日本側に一貫してこの問題を提起していると言い添えた。

在米日本大使館はこの問題についてコメントを避けた。

「大統領がこの問題を提起し、大使がこの問題を提起して、米国にとってこれが重要であることをはっきりさせた。彼らは同盟国であり、大統領が問題だと認識してそれを提起すれば、それが大きな問題だと認識する。しかし日本の反応を見る限り、これを大きな問題だと思っているようには見えない」とブリタニーさんは言う。

ブリタニーさんと子どもたちは数週間ごとにアルコニス受刑者と面会しており、現在は30分間の面会が月に5回認められているという。いずれも10歳に満たない子どもたちが、同盟国間でのこの困難な状況の「代償を払っている」とブリタニーさんは訴えた。

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