ロンドン(CNN) 英国の伝説的なミステリー作家、アガサ・クリスティーの着想源になった小島が売りに出されていることが分かった。アールデコ調のホテルに加え、ヘリパッドも完備している。
この小島は英南西部デボン州の沖合に位置する「バー島」。不動産仲介企業のナイト・フランクによると、1500万ポンド(約25億円)を超える金額で市場に出ているという。
潮の干満の状況によって島へのアクセス方法は変わる/Burgh Island Hotel
バー島は港町プリマスから約29キロの距離にある島で、干潮時には陸地と連結する。クリスティーが代表作の「そして誰もいなくなった」と「白昼の悪魔」を書いた場所として知られる。
「そして誰もいなくなった」は互いに面識のない10人が謎の島に招かれ、一人一人殺害されるというストーリー。「白昼の悪魔」では、ベルギー人探偵のエルキュール・ポアロがデボン州の島で起きた殺人事件の捜査に当たる。
浜辺の地形を利用した「マーメイド・プール」はホテルのセールスポイントの一つ/Burgh Island Hotel
寝室25室を擁するホテルは、約8.5ヘクタールの敷地に建てられている。ナイト・フランクによると、往時の姿が完全に復元されており、「欧州で現在使用されているアールデコ建築で最良の例の一つ」だという。
バー島は長年にわたり、富裕層や著名人の隠れ家的なスポットとして人気を博していた。
1890年代にはミュージックホールのスター、ジョージ・チャーグウィンが島に木造住宅を建設。週末にパーティーを開催して来客をもてなした。
1927年には映画プロデューサーのアーチボルド・ネトルフォールドに売却され、ネトルフォールドが当時流行していたアールデコ調の本格的なホテルを建てた。
ホテルの各部屋には、A・クリスティーなど著名なゲストにちなんだ名前が付けられている/Burgh Island Hotel
ホテルのウェブサイトによると、クリスティーはこの場所を第2の自宅として利用。劇作家兼作曲家のノエル・カワードをはじめとする著名人が多数宿泊した。カワードは当初3日間の予定でチェックインしたが、3週間滞在することになったという。