地下鉄で叫び声上げた男性、乗客に首を押さえられ死亡 米NY

乗客の男性が首を絞められ死亡したのを受け、地下鉄を捜索するニューヨークの警官ら/Paul Martinka/AP

2023.05.05 Fri posted at 16:00 JST

(CNN) 母親を2007年の殺人事件で失ったジョーダン・ニーリーさんは、米ニューヨーク市のタイムズスクエアや地下鉄構内でマイケル・ジャクソンの物まねをして生計を立てていた。

しかし友人や親類によると、ここ数年は生活が苦しくなった様子で路上で生活するようになり、母親を失った心の傷に苦しんでいた。

ニューヨークの地下鉄の車内で今月1日、自分は空腹で喉(のど)がかわき、何もないことに疲れたと叫び声を上げたニーリーさんは、別の乗客に押さえられて首を絞めつけられ、搬送先の病院で死亡した。

30歳の男性が首を絞めつけられ、両腕を別の乗客に押さえられた様子は動画に記録されていた。マンハッタン地区検察は、この男性の死亡について捜査に乗り出した。

ニューヨーク市検視局は、ニーリーさんは首を圧迫されたことが原因で死亡したと断定し、殺人だったとの見方を示した。ただ、故意があったかどうかについては判断していない。

マンハッタン地区検察は、検視報告書や映像、写真を参照し、できるだけ多くの目撃者を突き止めて事情を聴いていると説明した。

目撃者が警察に語ったところによると、地下鉄に乗車していたニーリーさんは、首を絞めつけられて意識を失った。

タイムズスクエアの映画館の前で写真に収まるJ・二ーリーさん=2009年撮影

ニーリーさんの車内での挙動は異様だったが、他人に危害を加えてはいなかったと、目撃者はCNNに話している。

この地下鉄に乗っていたというフアン・バスケスさんは、ドアが閉まる寸前に乗り込んで来た男性(後にニーリーさんと判明)が、空腹で「何もないことに疲れた」と言ってわめき始めたと証言する。

ニーリーさんは「死んだって構わない。刑務所に行ってもいい。食べるものがない。自分は終わった」などと叫んでいたという。

乗客の多くは不快感を示して車内の別の場所に移動したが、ニーリーさんが凶器を持っている様子はなく、他人に危害を加えるようには見えなかったとバスケスさんは振り返る。

そこへ別の乗客が近寄ると、背後からニーリーさんの首に腕を回して締め付けた。

ニーリーさんは抵抗しなかったとバスケスさんは言い、2人が床に倒れる音が聞こえたと話す。

さらに別の乗客2人が近寄った。1人は間に割って入ろうとした様子だったが、もう1人はニーリーさんを押さえ付けている男性を手助けするように見えたという。バスケスさんは、男性がニーリーさんの首を絞め始めてから3~4分後にこの様子をビデオで撮影し始めた。

ニーリーさんが別の乗客に押さえつけられる様子を捉えた動画のスクリーンショット

バスケスさんの動画には、地下鉄の車内で男性がニーリーさんの首に腕を回した様子が映っている。2人は約7分間、床に倒れていたという。

ニーリーさんは凶器を持っていない様子だったとバスケスさんは証言。しかし動画の中ではニーリーさんがナイフを持っていると言う人の声が聞こえていた。

しばらくたつと、ニーリーさんの言葉が途切れ、動きが止まった。

ニューヨーク市警の警官は1日午後2時半ごろ、通報を受けてマンハッタン南部の地下鉄の駅に到着し、意識不明のニーリーさんを発見した。ニーリーさんは応急装置を受けて病院に搬送されたが、その日のうちに死亡した。

バスケスさんはニーリーさんが死亡したことを知り、動画を警察に提出した。

捜査関係者によると、ニーリーさんの首を絞めた男性は、クイーンズ地区在住の24歳の元海兵隊員だったことが分かり、捜査当局の事情聴取を受けて帰宅した。

検察は現在も捜査を進めており、目撃者や事件に関する情報の提供を募っている。

乗客に首を押さえられ男性死亡 地下鉄で叫び声上げた後 米NY

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