米生活雑貨大手ベッド・バス、破産法申請 「カテゴリーキラー」の象徴

生活雑貨販売大手ベッド・バス・アンド・ビヨンドが破産法の適用を申請した/Don & Melinda Crawford/UCG/Universal Images Group/Getty Images

2023.04.24 Mon posted at 15:40 JST

ニューヨーク(CNN) 米生活雑貨販売大手、ベッド・バス・アンド・ビヨンドが23日、破産法の適用を申請した。同社は1990年代から2000年代にはあらゆる家庭用品を売る代名詞的存在だった。

同社のホームページには「ご愛顧のお客様に感謝します。我々は事業縮小を始める難しい決断をしました」との声明が掲載された。

現時点で同社のベッド・バス・アンド・ビヨンド360店舗と乳幼児用品販売店のバイバイ・ベビー120店舗、オンラインストアは営業を続けている。同社は破産手続き中の営業資金2億4000万ドル(約320億円)を確保した。

閉店セールは26日から始まり、一部店舗は閉鎖される。従業員1万4000人の今後は手続きの行方次第となる。

破産法の適用申請で必ず市場から撤退するわけではない。米国の多くの大企業が債務整理に破産法申請を利用してきた。

ベッド・バスは事業の全部または一部の売却先を探す方針で、もし買い手が見つかれば閉店は止まるとみられる。一方、買い手が現れなければ完全に会社が清算され、店舗は消滅する可能性が高い。オンライン専門店として生き残る可能性に言及する専門家もいる。

同社は米玩具販売大手「トイザらス」や家電量販店「サーキット・シティー」など、小売りの特定の分野で支配的存在となる「カテゴリーキラー」の時代を象徴する存在だった。こうした会社は消費者が巨大専門店からアマゾンのようなオンライン店舗での購買へとシフトする中、破産申請に追い込まれている。

ベッド・バスはキッチン用品からタオル、ベッド用品まで、店舗の床から天井まで積み上げるスタイルの店舗を展開。青色と白色の全品20%の割引券はポップカルチャーのシンボルにもなった。20%割引券は25日まで使えるが、26日以降は閉店セールの一環で「大幅な割引」を実施予定だという。

1971年にディスカウント小売業界のベテラン2人が立ち上げた同社は、有名ブランドを割安な価格で販売し、さまざまな顧客を引きつけてきた。各ブランドは同社の棚に自社製品を載せようと競った。オープンストアのレイアウトは消費者の衝動買いも誘い、皿を買うつもりで枕にタオルなど他の商品を手に出てくるような状況を生み出した。

カートの商品を調べる買い物客=1994年1月、米ニューヨーク市

2009年には1000店舗目をオープンし、年間売上高が78億ドルを超えた。これまでの慣習を打ち破り、広告費をほとんどかけず、新聞経由で届ける印刷されたクーポンが成長を担った。

ただ、消費者行動の変化への対応で後手に回り、アマゾンや格安小売り大手ターゲットなどに奪われた顧客を取り戻すのに悪戦苦闘した。

共同創業者の一人で既に同社を離れているウォレン・アイゼンバーグ氏は最近、米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューで「インターネットの波に乗り遅れた」と述べた。ただ、同社が沈んだ要因はそれだけでなく、ウォルマートやターゲットといった小売り大手の実店舗がより安い価格と幅広い品ぞろえで同社の顧客を奪った状況もあった。

価格や品ぞろえで差別化ができないまま、ベッド・バスの売り上げは12~19年に不振に陥った。20年には新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で全店舗の一時閉鎖にも見舞われ、同年17%、翌年15%と売り上げが減少した。

この数年で経営陣や経営戦略が変わったのも大きかった。ディスカウント大手ターゲットの幹部だったマーク・トリットン氏は、投資家の後押しを受けて19年からかじ取りを担い、割引券を縮減し、商品を有名ブランドから自社ブランドに切り替える新戦略を打ち出した。だが、これは有名ブランド好きの顧客を失う結果を生み、業者への支払い遅滞や商品の品不足にも陥った。トリットン氏は22年に最高経営責任者(CEO)を退任した。

今年2月にはプライベート・エクイティー(PE、未公開株)ファンドの協力を得て、直近の資金繰りと将来の債務支払いの資金確保を目的とする複雑な株式発行を実施、破産を回避した。だが、翌月にはPEファンドとの取引が終了、公開市場で資金調達をする方針を示していた。利益の出ている一部店舗を除く400店の閉鎖方針も示し、一時解雇した従業員に対する手当の支払い停止でも資金をつなごうとしていた。

ベッド・バスの破産申請時の負債は52億ドル、資産は44億ドル。

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