(CNN) ポーランドとハンガリーが安価な農産品の急増を受け、ウクライナからの穀物などの食糧品輸入を禁止した。
ポーランド首相府はこの措置について、「ポーランドの農産品市場を不安定化から守るため」と説明している。
これに対してウクライナは「ポーランド側の決定を遺憾に思う」と述べ、不正が疑われる場合は捜査でポーランドに協力する用意があるとした。
ハンガリーのイシュトバーン・ナジ農相も16日、穀物や油糧種子などウクライナからの農産品の輸入を一時的に禁止すると発表。「EU(欧州連合)による実質的な対策が欠如している」状況で必要な措置と位置付けている。
欧州委員会はこうした動きについて、個々の加盟国が貿易政策を決定することはできないと批判。同委員会のアリアナ・ポデスタ氏は「貿易政策はEUの排他的権限であり、従って一方的な行動は容認できない」とCNNに語った。
ロシアはウクライナに侵攻した時点で、ウクライナ産の穀物をアフリカや中東に輸出するために使われていた港湾や海上輸送路を封鎖した。
飢餓の拡大を懸念したEUは、世界市場への流通を促すため、ウクライナ産の穀物に対する関税を停止した。
以来、ウクライナ産の穀物がポーランドに流入したが、大部分は同国内に滞留して価格を押し下げ、ポーランドの農家が多額の損失を被っている。
欧州中部や東部では、ウクライナ産の穀物輸入に反対するデモが拡大。ルーマニアとブルガリアの国境では、ウクライナからのトラックの入国を阻止しようと、デモ隊が道路や国境検問所をトラクターで封鎖した。
地元の生産者は、ウクライナ産穀物の値段には対抗できないと訴え、欧州委員会に対して損害賠償を要求していることを明らかにした。
反発が強まったのは、欧州委員会がウクライナ産穀物に対する関税停止と割当制度の停止を2024年6月まで延長する決議案を発表したことがきっかけだった。この問題をめぐってポーランド農相は辞任に追い込まれた。
ブルガリアでも、自分たちには販売できない農産物で倉庫がいっぱいになっているとして、生産者が不満を募らせていた。
ヤボル・ゲチェフ農相は「ブルガリアはウクライナと連帯している。だが我が国が輸出回廊になる代わりに倉庫になったことから、地元の農産品市場は過剰供給状態に陥った」と話している。