動物園のゾウ、バナナの皮むきを習得 食べ方に「戦略性」も ドイツ

鼻を使ってバナナの皮をむく行動を習得したベルリン動物園のアジアゾウ「パンパ」/Lena Kaufmann

2023.04.14 Fri posted at 18:00 JST

(CNN) ドイツのベルリン動物園で飼育されているゾウが、鼻を使ってバナナの皮をむく行動を習得した。フンボルト大学の研究チームはこの行動を記録に収めている。

メスのアジアゾウの「パンパ」は赤ちゃんだった1987年からベルリン動物園で飼育され、普通の動物園と同じようにバナナを与えられている。

ほとんどのゾウは、バナナを鼻で拾い上げて皮ごと食べる。しかしフンボルト大学のミヒャエル・ブレヒト教授によると、パンパは「飼育員のリトルプリンセス」的存在で、飼育員の1人がパンパのためにバナナの皮をむいて与えていたところ、数年後、パンパが自分で皮をむくようになった。

動物園は、ゾウの鼻の使い方を研究していたブレヒト教授のチームに連絡を取った。「もちろん興奮した」というブレヒト教授。ところがパンパはなかなかバナナの皮をむくところを研究者に見せてくれなかった。

飼育員がパンパのためバナナの皮をむいて与えていたところ数年後には自分でむくように

「何週間もの間、我々はベルリンで見つけられる限り最高のバナナを動物園に持ち込んだ。しかし彼女はいつもそのまま食べてしまった」(ブレヒト教授)

「頭をかきむしった末に、彼女が皮をむくのは茶色くなりかけたバナナだけだと気づいた。美しい黄色いバナナは決して皮をむかない」と同教授。ただし、茶色くなりすぎたバナナを与えても投げ捨ててしまうと言い添えた。

パンパが皮をむくときは、側面から1枚ずつむくのではなく、鼻を使って皮に裂け目を入れてから地面に投げ、鼻でつかんでバナナの身を地面に振り落とす。

ただ、茶色くなりかけたバナナであっても、丸ごと食べる時もある。ブレヒト教授によると、ほかのゾウたちと一緒にいて、みんなにバナナを与えると、パンパは皮をむくことで時間を無駄にしないため(そしてたくさんのバナナを食べるため)、「マシンのように」食べる。しかしバナナが1本だけ残っていると、取っておいて後で皮をむく。教授はこの行動を「非常に戦略的」と形容する。

なぜパンパが皮をむくのか、そして茶色がかったバナナだけ皮をむくのかという疑問は残る。これは味や、熟すほど皮がむきやすくなることと関係があるのかもしれない。また、パンパが飼育員をまねてバナナのむき方を学習したとも断定はできない。

パンパが皮をむくのは、程よく茶色に熟しつつあるバナナだけだという

「これが学習だった可能性は間違いなくある。だが、バナナをたくさん食べたゾウが自分でやり方を覚え、皮をむかないバナナよりもむいたバナナの味を好むようになった可能性もある」。米ハンターカレッジのジョシュア・プロトニック助教は電子メールでそう解説した。

プロトニック氏は今回の研究にはかかわっていない。バナナをむくゾウは過去に見たことがあるといい、この行動はゾウの鼻の器用さと、ゾウの採食行動の柔軟さの表れだと指摘する。

ゾウの行動の順応力は、80歳を超すこともある寿命の長さと関係がある。これほど長生きするためには新しい体験に対応し、記憶する必要があり、学習は「ゾウの人生の大きな部分」を占めるとブレヒト氏は言う。

人間による生息地の破壊や断片化に直面している状況を考えると、ゾウの学習能力はその日その日を生きていく以上のメリットになるのかもしれない。ゾウの認知力にスポットを当てた研究が保護の取り組みに役立つことを望むとブレヒト氏は話し、「素晴らしい動物だということが分かれば、保護の取り組みが強まるかもしれない」と期待を寄せた。

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