(CNN) ミャンマー軍に空爆された同国北西部ザガイン管区カンバルの村。一夜明けた12日、現場では焼け焦げた遺体や遺体の断片を、親族が拾い集めていた。
トンネルの中に隠れていたという目撃者は、空爆を受けた現場の惨状を目の当たりにした。死亡した子ども、泣き叫ぶ女性、地面に積み上げられた遺体の山。ミャンマー軍事政権による11日の空爆では、女性や子供を含む少なくとも133人が死亡したと、ミャンマー民主派の「統一政府」(NUG)で人権担当相を務めるアウンミョーミン氏はCNNに語った。
当時現場にいた活動家団体によると、今回の空爆で子ども少なくとも20人が死亡し、50人が負傷したという。
目撃者によれば、村では11日朝、地域行政事務所の開所式が行われて300人ほどが集まっていたという。式典ではミャンマーの新年の始まりに合わせて飲食が振る舞われ、近隣の村からも家族連れが訪れていた。
同地は軍事政権の支配下には置かれておらず、新しい行政庁舎は軍事政権に対する抵抗運動の一環として、NUGの管轄下で住民のために開設された。
「警告は一切なかった」と目撃者は振り返る。「住民のほとんどはこのイベントに集まっていて、ジェット機に気付かなかった」
目撃者や現地メディアの報道によると、午前8時ごろ、軍事政権の航空機が式典の開かれていた村を空爆した。その数分後、Mi35ヘリコプターが旋回して村を射撃した。
「現場に到着した我々は、まだ生きている人を捜そうとした」「何もかもひどい状況だった。人々はバイクで(運ばれる途中に)死亡した。子どもも女性も。頭や手足を失った人もいた。路上に遺体の断片が見えた」。目撃者の男性はCNNにそう語った。
この男性は、5歳の子どもを含めて何十人もの遺体を見たと話す。自身も空爆で家族4人を失った。死者にはこの男性の村から来た幼い子どもも含まれていたという。
「たくさんの人たちが現場に来て、泣き叫びながら自分の子どもを捜していた」
午後5時半ごろ、軍事政権のジェット機が戻って来て、この日の朝と同じ場所を空爆したと男性は話している。
こうした内容について、CNNが独自に検証することはできていない。しかし目撃者の証言は、現地メディアやNUGが伝えた内容と一致している。
目撃者や現地の活動家団体からCNNに提供された動画や写真には、焼け焦げたり断片になったりした遺体、破壊された建物や車両、残骸などがうつっていた。
軍事政権のゾーミントゥン報道官は、この村を空爆したことを確認し、もし民間人に犠牲者が出たとすれば、それは「テロ組織」支援を強要されたためだと語った。
軍事政権は、NUGや国民防衛隊(PDF)などの抵抗勢力をテロ組織に指定している。
ゾーミントゥン報道官は軍のテレビで「午前8時、NUGとPDFが行政事務所の開所式を行った」「我々は彼らに対する攻撃を実施した。攻撃を受けて同イベントでPDFが死亡したとの報告を受けている。彼らは我々の政府に反対していた」と語った。
今回の空爆は、国際社会の非難の的になっている。
ミャンマーの人権状況に関する国連特別報告者トム・アンドリュース氏は、「きょうのザガイン管区空爆を含め、ミャンマー軍の罪のない人たちに対する攻撃は、国際社会の無関心と、彼らに武器を供与している者たちによって可能になった」と非難した。
ミャンマー軍の市民攻撃で死者