ロシアのタカ派、軍事ブロガー殺害に乗じ反体制派の処刑を要求 弾圧強化も求める

サンクトペテルブルクのカフェで起きた爆発で死亡したウラドレン・タタルスキー氏/@Vladlentatarskybooks/Telegram/Reuters

2023.04.06 Thu posted at 13:11 JST

(CNN) ロシアの軍事ジャーナリスト、ウラドレン・タタルスキー氏の殺害を受け、同国内の政治家やジャーナリストの間では死刑制度の復活を求める声が怒りと共に湧き上がっている。同時に反体制派に対する無慈悲な弾圧も要求。テロ行為や反逆罪の活用を拡大してでも、これを取り締まる必要があると訴えている。

タタルスキー氏は2日、サンクトペテルブルクで開かれたイベントの最中、即席の爆発装置によって殺害された。事件を巡っては26歳のダリヤ・トレポワ容疑者が現在モスクワで拘束中。タタルスキー氏の死亡に関連し、テロ行為を扱う罪状で起訴されている。

ロシアで最も人気のあるテレビ司会者の一人、ウラジーミル・ソロビヨフ氏は番組の中でトレポワ容疑者について、夫と共に「銃殺されるべき」だと発言。現在海外で暮らしている夫は「耳を引っ張ってロシアに連れ戻し、壁に押し付ければいい」と述べた。

同氏はまた、海外在住の他の反体制派について「ずだ袋に放り込んでロシアに送り返し」、「刑務所でやつれさせるか、銃殺するべき」とも主張した。

別の人気番組では、ある地方の高官がスターリン時代を懐かしむ思いを吐露。当時は「人民の敵」をシベリアの収容所に送り、強制労働させていたものだと語った。

タタルスキー氏の殺害には即席の爆発装置が使用された

民間軍事会社ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏も4日、爆発の現場となったカフェを訪れ、死刑制度復活を求める意見の輪の中に加わった。

ロシアの国家安全保障会議副議長で前大統領のドミトリー・メドベージェフ氏は、タタルスキー氏の殺害後、SNSのテレグラムに「テロリズムが我々の街路に戻ってきた」と投稿。西側で「正義と反汚職のために戦う恐れ知らずの騎士」と評されている人物への非難を書き込んだ。名指しこそしていないが、念頭にあるのは反体制派の指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏とみられる。

その上でメドベージェフ氏は「これらの悪党どもは公然とロシアの敗北を願い、我々の母国の破壊を望むだけでなく、今や自分たちの同胞をも処刑している」と強調した。

こうした強硬派が声を上げる以前から、ロシア当局はすでに過酷な措置を取り、反体制派の活動や表現の自由が抑圧される状況となっていた。

最大で数千人ともみられる市民活動家が、ウクライナへの侵攻以降ロシアから脱出。戦争反対を訴える抗議デモは力で抑え込まれ、膨大な数の逮捕者を出している。

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