韓国・ソウル(CNN) 北朝鮮は24日、核弾頭を搭載して「放射能の津波」を引き起こすことができる水中ドローンの実験を行ったと主張した。これに対して専門家は懐疑的な見方を示している。
国営朝鮮中央通信(KCNA)によると、問題のドローンは「無人水中核攻撃艇『ヘイル』」と呼ばれ、21~23日にかけて実験を実施。同国東部沖の海中を59時間以上航行した後、23日午後に実験用の弾頭を爆発させた。
「水中核戦略兵器の使命は、密かに作戦海域に侵入し、水中爆発を通じて超大規模な放射能津波を発生させ、敵の艦船集団と主要な港を破壊することにある」とKCNAは伝えている。
この兵器は2012年から開発が進められ、過去2年で50回以上の実験を行ってきたとKCNAは報道。今回の実験によって「安定性と安全性が検証され、殺傷攻撃能力が全面的に確認された」と述べ、同兵器はどんな港からも配備でき、水上船で曳航(えいこう)して作戦を開始することもできるとしている。
北朝鮮の主張に対し、専門家からは疑問視する声が相次いだ。
韓国・梨花女子大学のリーフエリック・イーズリー准教授は、北朝鮮が何の証拠も提示していないことを理由に、「核の搭載が可能な水中ドローンを保有しているという北朝鮮の主張は疑問視すべき」と指摘する。
核政策に詳しいカーネギー国際平和基金のアンキット・パンダ氏は、「これが偽りや心理作戦の試みである可能性は排除できない」とした。
北朝鮮は水中ドローン実験のほかに、核の搭載が可能な巡航ミサイルの実験実施も発表した。
KCNAによると、亜音速ミサイル4発は22日、1500キロと1800キロの楕円(だえん)形と8の字型を描きながら飛行した後、日本海の目標に命中した。
22日の演習では、「戦略巡航ミサイル部隊に戦術的核攻撃作戦の遂行手順を習得させた」としている。
労働新聞は、この巡航ミサイルと水中ドローンを写したとされる写真をウェブサイトに掲載した。
KCNAは「米国と韓国がエスカレートさせている無謀な軍事的挑発」に対抗するため、北朝鮮は核兵器を開発する必要があると伝えている。
米韓は過去5年で最大規模となる合同軍事演習を、朝鮮半島南部で実施していた。
北朝鮮は先週も大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験を行うなど、さまざまなミサイル実験を続けている。
梨花女子大学のイーズリー氏は「北朝鮮のICBM実験は、潜在的に米国の都市を破壊できるという見え透いた脅しだ」と述べ、「このところの短距離ミサイル発射には、韓国と日本を狙う自称戦術核兵器の信憑(しんぴょう)性や統制を強める狙いがある」と分析している。