米国で増え続ける妊婦の死亡 2021年の急増、コロナが影響か

米国で妊娠や出産のために死亡する女性が年々増え続けている/Adobe Stock

2023.03.17 Fri posted at 12:58 JST

(CNN) 米国で妊娠や出産のために死亡する女性が年々増え続けている。米疾病対策センター(CDC)の統計によれば、特に2021年は妊婦の死亡が急増した。黒人女性の死亡率は、白人女性の2倍以上だった。

これについて専門家は、新型コロナウイルスが妊婦の死亡に拍車をかけ、死者の激増につながったと指摘している。

CDCが16日に発表した統計によると、米国で21年、妊娠や出産のために死亡した女性は1205人となり、前年までに比べて急増した。18年は658人、19年は754人、20年は861人だった。

これを換算すると、21年の妊婦の死亡率は出生数10万人あたり32.9人。19年は20.1人、20年は23.8人となっている。

妊婦の死亡率には人種的に大きな偏りがあることも分かった。21年の黒人女性の死亡率は出生数10万人あたり69.9人で、白人女性の26.6人に比べると2.6倍に上った。

年齢別に見た出生数10万人あたりの妊産婦死亡数のグラフ

妊婦の死亡率は年齢が上がるほど増加している。21年の統計で、出生数10万人あたりの死亡率は25歳未満が20.4人、25~39歳が31.3人、40歳以上の場合は138.5人だった。つまり40歳以上の妊婦の死亡率は、25歳未満の妊婦の6.8倍になる。

米国の妊婦の死亡率は過去30年にわたって増え続け、コロナ禍の間も増加が続いた。

妊婦の健康問題に詳しい専門家のエリザベス・シェロット氏は、コロナ禍と妊婦の死亡率増加の関係について、「女性は新型コロナの罹患(りかん)リスクや死亡リスクが高かった。死亡リスクの上昇に加え、集中治療室(ICU)での人工呼吸器装着、妊娠高血圧腎症、血栓のリスクも上昇したことが調査によって実証されている。そうした全てが罹患リスクや死亡リスクを上昇させた」と解説している。

米国民間団体コモンウェルス・ファンドや世界保健機関(WHO)の最新統計によると、米国は先進国の中で妊婦の死亡率が最も高い。ほとんどの国で妊婦の死亡率が減少する中で、米国では横ばいまたは増加で推移している。

その理由についてコモンウェルス・ファンドは昨年、帝王切開の割合の高さ、不十分な出産前ケア、肥満や糖尿病、心疾患といった慢性疾患の割合の高さが関係している可能性があると指摘。治療の機会を逸したり、治療が遅れたりして死亡する妊婦も多いと述べていた。

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