ゼレンスキー氏が警鐘、ロシアがバフムート掌握なら東部でさらに進軍 撤退否定

ウクライナのゼレンスキー大統領はCNNの単独インタビューに応じた/CNN

2023.03.08 Wed posted at 09:41 JST

(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領はCNNの単独インタビューに応じ、ロシア軍が要衝バフムートを掌握すれば、ウクライナ東部の主要都市の制圧につながる「開けた道」を手にすることになると警告した。包囲されたバフムートにウクライナ軍をとどまらせた自身の判断を擁護した。

ゼレンスキー氏は「これは我々にとって戦術的な判断だ」と説明。ウクライナ軍幹部はバフムートの防衛を続ける方針で一致していると強調した。ロシアの数週間に及ぶ攻撃を受け、バフムートは陥落寸前の状態にある。

首都キーウ(キエフ)からCNNの単独インタビューに応じたゼレンスキー氏は、「バフムートの後、ロシア軍がさらに進軍する可能性があると見ている。クラマトルスクやスラビャンスクに向かう可能性がある。バフムートを掌握後、ロシア軍はドネツク方面の他の街に向かう開けた道を手にするだろう」との認識を示した。

民間軍事会社ワグネルの兵士による何週間もの攻撃で、数千人がバフムート市外への脱出を余儀なくされ、インフラは破壊された。ただ、ウクライナ軍も粘り強く一帯を防衛しており、ロシアの進軍を遅らせている。

ゼレンスキー氏はバフムートを保持しようとする自身の動機について、ロシア軍の目的とは「まったく異なる」と説明。「ロシア軍がバフムートで何を達成したいのかは分かっている。ロシアは少なくとも多少の勝利、小さな勝利を必要としている。たとえバフムートの全てを破壊し、そこに残る全ての民間人を殺害することになってもだ」と述べた。

また、ロシアがバフムートに「小さな旗」を掲げることができれば、「ロシア軍がそれだけ強力な軍隊なのだという印象をつくり出し、社会を結集させる」のに役立つとの見方を示した。

バフムート近郊のロシアの陣地に向かって自走式榴弾(りゅうだん)砲を発射するウクライナの兵士

バフムート自体の戦略的価値は大きくないものの、その北西に位置する人口密度の高い二つの工業都市、クラマトルスクやスラビャンスクと道路でつながっているため、ロシアがバフムートを制圧すれば、次はこれらの都市がロシアの照準に入る。

死傷者が増え、ウクライナ軍が孤立するリスクが高まる中、一部の指揮官や下級将校からは、バフムートを保持することが妥当なのか疑問視する声も出ている。

しかし、ゼレンスキー氏はそうした懸念を退け、自身の指揮官からは「そんな声は一度も聞いたことがない」「国民を最優先に考える必要がある。誰ひとり包囲されてはならない。この点が重要だ」と述べた。

ウクライナのベレシチュク副首相は7日、子ども38人を含む4000人近い民間人が荒廃した市内に残っていると説明。特別避難チームを編成しているものの、住民は地下にとどまっていることが多く、居場所に関する情報がないことから避難が難航していると明らかにした。

ゼレンスキー氏、ロシアのバフムート掌握に警鐘

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