公海での海洋生物保護、約200カ国が条約案に歴史的合意

公海の海洋生物を保護するための条約案について、約200カ国が合意した/Luis Robayo/AFP/Getty Images

2023.03.06 Mon posted at 14:15 JST

(CNN) 公海の海洋生物を保護するための法的拘束力のある条約案について、国連の会合で約200カ国が合意した。地球の表面の約半分を覆う公海は、これまで実質的に無法状態だった。

条約案は米ニューヨークの国連本部で2週間の協議を経て、4日夕に調印された。起草は20年がかりの作業だった。

同条約により、生物多様性の保護を目的とした海洋保護区の設置や管理に向けた法的手段が確立される。また、深海採鉱のような商業活動の潜在的被害について事前に判断する環境影響評価や、海洋資源の共有に関する誓約も盛り込まれた。

公海は、真に手付かずの自然が残る世界で最後の場所とも呼ばれる。この広大な海域は、表面積で世界の海の60%以上を占める。

公海は幅広い種が生息して独特の生態系を形成し、何十億もの人口が依存する世界の漁業を支え、気候危機に対する緩衝材として過去数十年で世界の余分な熱の90%以上を吸収してきた。

ガラパゴス諸島近くの海上で操業する漁船

同時に極めて脆弱(ぜいじゃく)な存在でもある。気候変動によって海洋温度は上昇し、海水の酸性化が進んで海洋生物を脅かしている。

漁業や海上輸送、深海鉱業、海洋植物や動物の「遺伝資源」を医薬品などの産業に利用しようとする競争など、人間の活動も海洋の負担となっている。

しかしこれまでのルールは断片的で執行力が弱く、公海上の活動は無規制で監視も不十分なまま搾取されやすい状態にあった。

新しい海洋条約は、公海上に海洋保護区を設定して管理するための法的力を与えることで、そうした溝を埋めることを目指す。2022年12月にカナダのモントリオールで開かれた生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された世界の多様性の目標を達成するために、これは不可欠だと専門家は指摘している。

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