韓国、北との対峙に核兵器必要なし 首相が表明 CNN EXCLUSIVE

CNNとのインタビューで自国の核開発の必要性について言及した韓国の韓悳洙首相/CNN

2023.03.03 Fri posted at 18:13 JST

ソウル(CNN) 韓国の韓悳洙(ハンドクス)首相はCNNとの単独インタビューに応じ、韓国は北朝鮮からの脅威を抑えるために核兵器を必要としていないとの認識を示した。ただ、アジアの軍拡競争が加速する中、世論は首相の発言とは別の方向に振れている。

韓氏は最近の複数の世論調査で「我々が再武装すべきだとの意見が明確に示されている」と指摘し、核能力の点で言えば「さらに進むべきだ(と調査は示している)」と述べた。

昨年2月公表のある世論調査では、回答者1300人あまりのうち71%が韓国の核兵器開発を支持した。朝鮮半島の緊張が高まり、米国による防衛に対する国内の信頼も減退する状況で、以前は考えられなかった考えがこの10年で徐々に主流になってきている。

だが、韓氏は韓国には北朝鮮の「不合理な野心」を食い止める十分な武器があると主張。核能力の開発は「正しい道」ではないとの見方を示した。

韓氏は「我々は米国と緊密に連携して、極めて十分な水準の抑止力を構築してきた」と述べ、昨年の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の就任以来、政府は抑止力強化を「多分に強調してきた」とも語った。

「我々は国際社会とも協力して、北朝鮮の非核化に向け引き続き大きな圧力をかけるべきだ」「核能力を開発・強化しても平和や繁栄が保証されないということを北朝鮮が悟れるようにしたい」(韓氏)

北朝鮮が兵器計画を強化し、昨年は記録的な数のミサイルを発射する中、南北関係は悪化している。昨年はミサイルのうち一発が5年ぶりに日本上空を飛び、国際的な警戒感が高まった。

米国や国際的な監視者は数カ月前から、北朝鮮が2017年以来となる地下核実験を準備している様子が見受けられると警告している。金正恩(キムジョンウン)総書記は昨年、語気を強めて「世界でも最も強力な」核部隊を創設する方針を宣言。北朝鮮が「現実の戦争」に完全に準備を整えていると敵対国に警告し、核兵器は「決してあきらめない」と述べて非核化協議の可能性を切り捨てた。

米国やその同盟国の韓国や日本はこれを受け、軍事演習や協力を進めた。北朝鮮への強硬姿勢を公言する尹氏は、韓国が自国の核兵器を製造する見通しまで示し、今年1月には「戦術核兵器の配備か自国の核兵器所有」の可能性に言及した。

韓氏はそうした計画には反対を表明しているが、それでも韓国は核武装する隣国と対峙(たいじ)する準備を整えていると強調する。一方で、一定の条件下で協議に応じる姿勢も示している。

「我々は北朝鮮に相対するなかで自らの武装を解くことはしない」「だが、我々は北朝鮮との対話のチャンネルを閉じもしない。北朝鮮が非常に強力な核の野望を控えている限りはだ」(韓氏)

金正恩総書記は昨年、「世界でも最も強力な」核部隊を創設する方針を宣言した

中国の役割

韓氏はこの地域における中国の役割にも触れ、この超大国は経済改革と自由化を導入しようと過去数十年間を過ごしたような「以前の国ではない」と語った。

「中国は巨大で重要な世界的プレーヤーだ。韓国を含め、多くの国々が(中国に)世界のルールにもっと従ってほしいと望んでいると思う」

韓氏は中国が「世界規模の問題解決で大きく寄与するだろう」としながらも、「多くの国々が寄せる期待」に沿えていないことが多いと指摘。「たとえば、我々は朝鮮半島の緊張緩和のために、中国がもっと積極的、能動的になることを期待している」と続けた。

中国は何年も前から、世界で孤立を深める北朝鮮の最大の貿易相手国であり、経済の生命線となっている。

ただ、中国自身もアジアの軍拡競争で主要なプレーヤーとなっている。

今年1月、日米の閣僚は「(中国の)核兵器の継続的、加速的拡張」への警戒を表明。その数日後には、岸田文雄首相が東シナ海における中国軍の活動と、昨年8月に台湾上空を通過し日本近海に着弾した弾道ミサイル発射への懸念を示した。

中国軍の増強、攻撃的な外交方針、複数の領有権の争いは韓国でも注目を集め、中国に対する姿勢は急速に冷えている。

昨年の韓国核武装に関する世論調査では、回答者の半数以上が10年間で中国が韓国にとって最大の脅威になると回答。自国の核武装を支持する理由としては「北朝鮮以外の脅威」の存在を挙げる人が多かった。

韓氏は韓国が領有権争いを注意深く見ていることを認めた。

韓氏は「台湾海峡の平和も朝鮮半島の安全保障と平和にとって非常に重要だ」と言及。韓国は「一つの中国政策」を守るとしながらも、「同時に中国がもっとルールに基づいた、国際社会から非難されるような国のふるまいをしないことを」期待すると述べた。

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