(CNN) スウェーデンの環境保護活動家グレタ・トゥンベリさんが、ノルウェーで先住民団体や環境保護団体に加わって、風力発電施設に対する抗議運動に参加した。
トゥンベリさんを含む数十人は、首都オスロにあるノルウェー政府庁舎の入り口前に立ちふさがって、先住民族サーミのトナカイ放牧場に建設された風力発電施設2棟に抗議する運動を展開した。
オスロ地区警察によると、警察は1日午前、トゥンベリさんを含む10人を、財務省庁舎の入り口付近から排除した。
欧州連合(EU)で唯一認められている先住民族のサーミは、何百年も受け継いできたトナカイ放牧の伝統が、ノルウェー中部フォセンの風力発電施設に脅かされていると訴える。同施設は高さ約86メートルの風力タービン151基で構成され、欧州の陸上風力発電施設としては最大級。
トナカイ放牧を営むサーミの政治家はCNNの取材に対し、「この建設によってトナカイの放牧地が奪われている」と訴え、トナカイは施設周辺の道路などのインフラの影響も受けていると主張した。
抗議運動参加者らは、風力タービンの撤去とトナカイ放牧地の再生を求めている。
トゥンベリさんは2月27日、「先住民の権利、人権は、気候保護や気候運動と手を携えなければならない。他人を犠牲にすることがあってはならない」とロイター通信に語った。
トナカイの群れを追う先住民族のサーミ/Stoyan Nenov/Reuters/FILE
フォセンの風量発電施設をめぐっては2021年10月、ノルウェー最高裁が、建設許可を無効とするサーミ側勝訴の判決を言い渡している。判決では同施設について、トナカイ放牧地を侵害することによってサーミの文化的権利を侵害していると認定した。
しかし1年半近くたった今も、同施設は稼働し続けている。