放射性物質入りカプセルが一時紛失、発見 豪州西部の路上で

オーストラリア・西オーストラリア州の幹線道路沿いで紛失した放射性物質入りカプセルを当局が発見した/Department of Fire and Emergency Services/AP

2023.02.01 Wed posted at 18:09 JST

(CNN) オーストラリア・西オーストラリア州の幹線道路沿いで、放射性物質「セシウム137」が入った豆粒サイズのカプセルが紛失していた問題で、当局がカプセルを発見した。

紛失していたのは直径6ミリ、高さ8ミリのカプセル。西オーストラリア州北部にある資源開発大手リオ・ティントの鉱山から、約1400キロ離れた州都パースへ運ばれる途中で、トラックから落ちたとみられる。

リオ・ティントによれば、カプセルは鉄鉱石の破砕過程で比重を計測する装置の部品に使われていた。

当局によると、装置は1月10日に梱包(こんぽう)され、12日に運送業者が引き取った。16日にはパースに届いたが、検査のためにトラックから荷物を降ろした25日になって紛失が発覚した。

州消防当局によれば、荷物を開けた時点で、計測装置は取付ボルト4本のうち1本が外れてばらばらに壊れ、中のカプセルとすべてのねじがなくなっていた。路面の凹凸による強い振動で梱包材が破損し、ボルトが外れたとみられる。

州当局は27日、人口約200万人の都市パースの郊外を含む州南部一帯の住民に、放射性物質への警戒を呼び掛けた。5メートル以内に近付かないよう指示する一方、小さいカプセルを遠くから見つけるのは難しいことも認めていた。

リオ・ティントは30日に謝罪のコメントを出し、州政府の捜索に協力していると述べていた。

西オーストラリア州保健当局が提供したカプセルのイラスト

専門家によると、セシウム137は近付くと皮膚のやけどや放射線中毒を起こしたり、命にかかわるがんのリスクが高まったりする恐れがある。特に、気付かないまま長時間被ばくすると危険が増す。

放射線防護についての助言を提供する地元企業、ラジエーション・サービセズWAによると、カプセルから1メートル以内の場所で1時間被ばくした場合の線量は約1.6ミリシーベルトで、通常の胸部X線撮影を約17回繰り返した数値に相当する。カプセルをつまんだだけで、指や周囲の組織に重大な損傷が起きる。

南オーストラリア大学のアイバン・ケンプソン准教授は最悪のシナリオとして、子どもがカプセルを拾ってポケットに入れてしまうケースを挙げる。まれな話だが、かつて実際に、もっと強力な放射性物資で起きたこともあるという。

ラジエーション・サービセズWAによれば、放射性物質は同州内で日常的に、問題なく運搬されている。

ロイヤルメルボルン工科大学のプラディプ・デブ講師は、オーストラリアの厳しい安全基準を考えるとカプセルの紛失は極めて異例の事態だと指摘した。

当局は放射線を検知する専用装置を車に搭載し、幹線道路を時速50キロのゆっくりとしたスピードで行き来させて、カプセルの捜索を続けていた。

州消防当局は30日、カプセルの運搬ルート全体を調べるには約5日かかるとの見通しを示していた。

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