銃乱射の容疑者から銃奪い取った男性、多くの命救った「英雄」と称賛

容疑者の男から銃を取り上げたブランドン・トゥサイさん/ABC

2023.01.24 Tue posted at 19:58 JST

(CNN) 21日夜に米ロサンゼルス近郊モントレーパークのダンススタジオで発生した銃乱射事件で、容疑者の男が事件後に向かった別のダンススタジオで、そこで働く男性が男と取っ組み合いの末銃を奪い取っていたことがわかった。警察は男性を多くの命を救った「英雄」とたたえた。

ブランドン・トゥサイさんは21日夜遅く、家族で経営するダンススタジオで金属音を聞いた。男が入ってきたときにはチケット売り場にいて、物静かな男が問題人物だとすぐにわかった。

男は部屋の中をうかがう様子を見せた後、トゥサイさんに銃を突きつけた。

トゥサイさんは体が凍りつき「自分は死ぬんだ。これで私は終わりだ」と思った。だがその後「何かが私に降りてきた」という。

トゥサイさんは男に突進し、約40秒間取っ組み合いとなった。「もっと長く感じた」というこの間に、トゥサイさんは顔や後頭部、背中、手を何度か殴られた。

「武器を私やダンスホールに向けさせないように頑張った」(トゥサイさん)

命がけのこの瞬間に「もしこの銃を手放したら、私や私の周りの人、友人、家族に何が起きる」と思いつつ、何とか男から銃を引きはがすことに成功。銃を持つのは初めてだったが、男に出ていけと伝え「撃つぞ」と脅した。「自分は彼を殺さないといけないんだ」と思ったという。

男はトゥサイさんを再び襲おうか考えている様子だったが、結局ロビーを離れ自分のバンに走り去った。

容疑者が店に入ってきた様子を捉えた監視カメラの映像

トゥサイさんは銃を手にしたまま警察に即通報した。

旧正月を祝うモントレーパークで起きた銃乱射事件では11人が死亡した。フー・キャン・トラン容疑者(72)は事件後に近隣のアルハンブラにあるトゥサイさんのスタジオに向かっていた。

ロサンゼルス郡の保安官はトゥサイさんを「容疑者から武器を取り上げた英雄」と呼び、「私の考えでは彼が多くの命を救った」と称賛した。

トゥサイさんの行動は容疑者の特定にも直接つながった。捜査関係者によると、奪い取った銃から容疑者の氏名や特徴がわかったという。

トラン容疑者は翌22日午前にロサンゼルス近郊のトーランスで見つかり、警察が車に近づいたところで自らを撃って死亡した。

トゥサイさんは勇敢との称賛について「怖いもの知らずで、勇敢ではありえなかったと思う」と語る。こんな状況で戦うことになるとは思いもしなかったが、とっさに体が動いたという。

トゥサイさんはモントレーパークの被害者の多くと知り合いで、遺族への哀悼の意を示し、負傷者の早期の回復を願った。

容疑者から銃を奪い取った男性に聴く

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。