激戦の応酬も多くの前線は膠着状態に、ウクライナ東部戦況

ウクライナ東部ドネツク州リマンで、破壊された建物の前を歩く人/Genya Savilov/AFP via Getty Images

2022.12.22 Thu posted at 18:00 JST

(CNN) ウクライナ軍参謀本部は22日までに、激戦地の東部ドネツク、ルハンスク両州の戦況に触れ、ロシア軍は部分的な動員令で集めた新兵らを投入し前進を狙っているもののウクライナ軍がこれをはねつけていると改めて主張した。

東部戦局に関してはウクライナ軍が今年9月、電撃的な攻勢に踏み切ったものの双方が局面を決定的に変え得る戦果を握ることができない膠着(こうちゃく)状態が続いている。湿った気候、濃霧や泥土、前線の多くにある地雷原などが要因となっている。

位置情報が確認された映像によると、ロシア軍はドネツク州バフムート市東端に陣取っている。しかし、ロシア軍に関係するブロガーによると、同国の傭兵(ようへい)組織「ワグネル」の部隊はバフムート市南部の一部で拠点を失いもした。同市周辺で双方の制圧地域の推移を見極めるのは難しい状況ともなっている。

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日にバフムートを視察してもいた。

参謀本部は20日時点で、ロシア軍はドネツク州のバフムートやアウディーイウカを見据えた攻勢を仕掛けたと報告。隣接するルハンスク州との境界線に沿って今年9月に失地した支配地の奪回を狙った試みとした。ドネツク市西方への攻撃も強めているとした。

ロシア軍は多連装ロケットシステム(MLRS)の攻撃を多用し、19日だけで80回以上に達したとした。激しい交戦の一部は、被害が甚大なマリインカ市内外で目立つと指摘。ロシア軍はさらなる進撃の拠点を得るため同市の掌握を狙っているとした。

ウクライナ軍はこの中でロシア軍のMi型ヘリコプター2機を撃墜したとも主張した。

ウクライナ東部の戦局は、双方が決定的な戦果を得られない膠着状態が続く

さらに北部に位置するルハンスク州と北東部ハルキウ両州の境界線の戦況については、ウクライナ軍がロシア軍の小規模な抵抗を押し返したとの情報が流れている。ルハンスク州のウクライナ側のハイダイ知事が述べた。

同知事は寒さが募り、地面がさらに硬くなれば、両国軍の衝突は近い将来、一層強まるとも予想した。

一方、参謀本部のフロモウ作戦本部長代理は22日までに、ルハンスク州で先週起きたロシア軍との交戦は388回に達すると明かした。15日段階での数字で、ロシア軍は広範な前線でミサイルや砲門を動員した攻撃を続けていると説明した。

今月8日以降のミサイル攻撃はS300型ミサイルを使った38回を含め計41回で、民間インフラやウクライナ軍陣地などが標的になったとした。

388回の軍事衝突でロシア軍側に多数の死者が出たとも述べた。12月1~2日の間では最多で500人がルハンスク州の病院に搬送されたが、大半はワグネルの傭兵だったとした。

占領地にある病院に運ばれたロシア軍兵士の総数は同月4日時点では3600人以上に達したともつけ加えた。CNNはこの推定数字を裏づける材料は得ていない。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。