東京(CNN) 日本政府は16日、新たな国家安全保障計画を発表し、第2次世界大戦以降で最大となる軍備拡張を示唆した。防衛予算を倍増し、平和憲法からの方針転換を図るとみられる。周辺国による脅威の増大を受けての動きとなる。
岸田文雄首相はテレビ演説で、安保関連3文書を閣議決定したと発表。これらは「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の3つからなり、日本の防衛能力を強化して安全保障環境の一段の不安定化に対処する狙いがある。
新たな方策には、「反撃能力」の保有を可能にするとみられる条項が含まれる。岸田首相によるとこれは、緊急事態発生など特定の状況下で他国の領土を直接攻撃する能力を指す。
岸田首相は今月、防衛相と財務相に対し、予算を確保した上で2027年には防衛費を国内総生産(GDP)の2%に引き上げるよう指示していた。浜田靖一防衛相が明らかにした。
新たな防衛構想を取り入れることで、日本は戦後に制定された憲法の解釈を変更しつつある。同憲法の制約の下では、自衛隊の使用が認められるのは日本領土を防衛する場合に限られる。
しかし現在の日本政府が直面する安全保障環境は、この数十年で最も厳しいものとなっている。
防衛計画の見直しに当たり、日本は競合する周辺国の一つである中国を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と位置付けている。NHKが16日に報じた。
中国はかねて日本に近い領域で空軍力及び海軍力を増強し、尖閣諸島の領有権を主張。近海へ中国船を繰り返し送り込んでいる。また自衛隊機は毎日のようにスクランブル発進を行い、領空に近づく中国機に対応している。
NHKによると、新たな防衛戦略を受けて、日本は米国製のミサイル「トマホーク」のような兵器も保有することになるとみられる。これらの兵器は潜在的な敵国の基地への攻撃を可能にする。中国、北朝鮮、ロシアといった潜在的敵国は、それぞれの基地から日本の領土を攻撃する可能性がある。
日本政府は、新たに保有し得るいかなる長距離兵器も「先制攻撃」には使わず、敵国の側が日本を攻撃した場合にのみ使用するとしている。