カタール・ドーハ(CNN) サッカーのワールドカップ(W杯)が開催されているカタールの首都ドーハの港に、豪華な大型ヨットが並ぶ。観戦に訪れる富裕層向けの、海に浮かぶホテルだ。
船舶追跡サイトによると、W杯開幕後にカタール入りした大型ヨットは20隻を超えた。
開幕直後の先月24日に入港した「サルジ」号もそのひとつ。最初の宿泊客が到着する前に、CNN取材班が船内へ招かれた。
サルジは、ドーハの人工島「ザ・パール」の港に停泊している。
ザ・パールの建設は2004年から始まった。油田が発掘されるまで、地元の主な産業が真珠採りだったことからこの名が付いた。島は「アラビアのリビエラ」とも呼ばれ、ブランド品をまとった人々がちりひとつない道路で犬を散歩させている。
落書き風の模様が描かれたサルジの船内では、35人の船員が宿泊客を迎える準備を進めていた。
ベッドルームはそれぞれ独自のデザインとなっている/Ben Church/CNN
宿泊料金は1週間で約48万ドル(約6500万円)。足を踏み入れた瞬間からふわふわの白いスリッパを勧められ、完璧な身だしなみのスタッフに迎えられて、贅沢(ぜいたく)な気分に浸ることができる。
客室は1~3階で16室、収容人数は計32人まで。船内にはジャグジーや自動演奏ピアノ、ダイビング教室、プールやポーカー用テーブル、映画ルーム、ゴルフ練習場まで完備され、退屈する心配はない。
豪華なスパや美容院もある。食事はすべて船内で調理され、清掃も行き届いていた。
館内に飾られた絵画などはどれも、サルジという船名の由来である中国の伝説的な軍馬にあやかった作品だ。
宿泊客の中には有名人や裕福な実業家らも少なくないが、カタールでの第1号がだれなのか、船長は明かさなかった。
船内には豪華なスパも/Ben Church/CNN
サルジは例年、夏は地中海、冬は東アジアやインド洋へのクルーズに使われる。最近は自動車レースのフォーミュラワン(F1)が開催されたアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビに停泊していた。そこからカタールへの移動は、ビザ取得の手続きに手間取ったため、予定より遅れたという。
ドーハでは要望に応じて試合会場への送迎リムジンを手配し、船を沖へ出してそこから街の眺めを楽しんでもらうこともできるとのこと。砂漠のテントや街はずれのプレハブ式宿舎とは別世界のサービスを提供しているようだ。