北京でコロナ感染爆発 客足途絶え、日常生活は混乱

薬局に並ぶ人々=13日、北京/Stringer/Bloomberg/Getty Images

2022.12.15 Thu posted at 12:52 JST

北京(CNN) 人通りが途絶えた通り、誰もいないショッピングセンター、互いに距離を置く住民――。それが北京の新常態になっている。

政府が厳格な「ゼロコロナ政策」の緩和に踏み切って1週間。北京で新型コロナウイルスの感染が急激に拡大している。北京にとってはパンデミック(世界的大流行)が始まって以来、初めての事態だ。

感染拡大の影響は、高級ショッピング街、三里屯の13日の様子を見ても明らかだった。普段はにぎわう店やレストランは客足が途絶え、従業員を減らして営業したり、テイクアウトのみの営業とする店もあった。

北京全体が同じような状況にある。店や住宅管理会社は従業員が感染したために人員不足に陥ったりシフトを調整したりしていると説明。感染を恐れて自宅にこもる住民もいる。


薬局に並ぶ人々=13日、北京/Stringer/Bloomberg/Getty Images

どの程度感染が広がっているのかを正確に把握できる数字はない。中国では新たな規制に基づきこれまでのような検査の義務付けがなくなり、住民が自宅での抗原検査に切り替えたため、公式統計はほとんど役に立たなくなった。

国家衛生健康委員会は14日、新規の症例を全て把握することを断念し、無症状の感染者は1日の集計から除外すると発表。検査の数が減ったことを理由に「無症状の感染者の実数を正確に把握することは不可能」と説明した。

当局が14日に発表した前日の症例数は、症状のある症例が全土で2249例で、うち20%が北京で検出された。こうした数字も検査数の減少の影響を受けていると思われる。北京の症例数は、公式集計の何倍にもなる可能性がある。

閉鎖されたコロナ検査所=13日、北京

在中国米商工会議所の会頭だった北京在住の弁護士は14日、自分の職場では約90%がコロナに感染しているとツイートした。数日前は半数程度だったといい、「我々の『在宅勤務』ポリシーは、『もし元気があれば在宅勤務』になった」と伝えている。

専門家は、コロナ感染を経験した人が比較的少ないことや、幅広く使われているオミクロン変異株対応の不活化ワクチンの有効性が低いことから、中国では他国よりも急激にウイルスが拡散する恐れがあると指摘する。

保健当局の12日の集計によると、市内の主な病院では、インフルエンザのような症状の患者が5日~11日にかけて1万9000人に上り、前の週に比べて6倍以上に増えた。

11日に発熱外来を受診した患者の数は、1週間前の16倍に増加。プライマリーケア(初期診療)制度が整っていない中国では、症状が軽くても病院を受診することが多い。

ただ、中国のコロナ対応を率いる孫春蘭氏が13日、北京の対応状況を視察した際に語ったところによると、病院で重症または重体となっている症例は50例のみで、大部分を基礎疾患のある患者が占めている。

「現時点で、北京の新規の感染者は急増しているが、そのほとんどは無症状か軽症だ」と孫氏は述べ、発熱外来の増設を求めるとともに、ここ数日で購入が急増している医薬品の供給を増やしていると説明した。

コロナ規制緩和も、閑散とした北京の街

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