イランのデモ隊、W杯敗戦を祝う 帰国する選手の安全巡り懸念

イランの対米国戦敗退を祝う市民の姿が見られた/mamlekate/Telegram

2022.12.01 Thu posted at 08:15 JST

(CNN) イランがサッカー・ワールドカップ(W杯)で米国に敗れたことを受け、首都テヘランや他のイランの都市では11月29日夜、歓喜や祝福の声が上がった。イランで続く反政府デモの参加者は、政権への打撃になるとして大会敗退を歓迎した。

イラン代表は29日の試合に0―1で敗れ、カタール大会から姿を消した。国内で数カ月続く反政府デモが影を落としたイランのW杯は幕切れを迎えた。

ただ、代表チームは第1戦の前にイラン国歌の斉唱を拒否しており、帰国する選手の身の安全をめぐり懸念の声が出ている。斉唱拒否はデモ隊に連帯を示したものとみられる。大会の警備関係者によると、選手の家族は試合前、投獄や拷問に遭うと脅迫されていたという。

30日未明に試合終了のホイッスルが鳴ると、イランの複数の都市では、人々が民家や集合住宅の中から敗戦を祝った。SNSに投稿された動画には、車のクラクションを鳴らしたり、歌ったり、口笛を吹いたりする様子が映っている。

イランの対米国戦敗退を祝う市民の姿が見られた

クルド人居住地域で市内の祝福の様子を目撃した人は30日、CNNの取材に、「うれしい。これは政府が国民に負けたということだから」と語った。

ノルウェーに拠点を置くイランの人権団体ヘンゴーは同様のシーンをとらえた動画を複数投稿。「パベの人々はカタールW杯でイラン代表が米国に負けたことを祝い、『裏切り者を打倒しろ』と連呼している」と伝えた。

イランでは数カ月にわたってデモが国を揺らし、当局の弾圧で死者が出る事態となっている。全国規模のデモが発生したきっかけは、風紀警察に拘束された22歳のクルド系女性が9月半ばに死亡したことだ。その後、イラン各地のデモ隊は政権に対する様々な不満を挙げて結集している。

イランのデモ隊、W杯敗戦を祝う

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。