ネアンデルタール人はグルメだった、7万年前のマメ料理が語る食生活

イラク北部クルディスタン地域のザグロス山脈にあるシャニダール洞窟/Chris Hunt

2022.11.25 Fri posted at 15:10 JST

(CNN) 石器時代の人類は、バラエティー豊かな食材を組み合わせ、さまざまな料理法や風味を使い分ける驚くほどのグルメだった――。そんな食生活の様子が、洞窟に残された炭化した食べ残しの調査で浮かび上がった。

研究チームはイラク北部のシャニダール洞窟と、ギリシャのフランクティ洞窟で見つかった植物素材を調査した。その結果、ネアンデルタール人や現代の人類の祖先による先史時代の料理は、複数の手順を踏み、多様な食材を使っていたことが分かった。この研究結果はこのほど考古学誌に発表された。

食材には野生の木の実やエンドウ、野草、マメ類などが一般的に使われ、ノハラガラシが使われることもあった。植物は食べやすくするため、自然のままでは苦みのあるマメ類を水に浸したり、粗く砕いたり、石でたたいて殻を取り除いたりしていた。


シャニダール洞窟では焦げた植物の残骸と囲炉裏が発掘された/Graeme Barker

シャニダール洞窟では、ネアンデルタール人が住んでいた7万年前と、現生人類のホモサピエンスが住んでいた4万年前の植物の残りを調べた。フランクティ洞窟の炭化した食品の残りは1万2000年前のもので、こちらも狩猟採集時代のホモサピエンスが住んでいた。

距離的には離れていても、いずれの洞窟でも見つかった植物や調理法は似通っており、料理の伝統が共有されていたことをうかがわせると、論文を執筆した英リバプール大学の研究者は解説する。

ギリシャのフランクシ洞窟で見つかったパンのような食べ物(左)とイラク北部のシャニダール洞窟で見つかったエンドウ豆などの植物が使われた食品

食材や料理法はネアンデルタール人(4万年前に消滅)もホモサピエンスもそれほど変わらなかったと思われる。ただしノハラガラシはホモサピエンスが住んでいた時代のシャニダール洞窟のみで見つかった。

ギリシャのフランクティ洞窟ではパンのようなものも発見されたが、成分は分からなかった。シャニダール洞窟では7万年前の人類がマメ類をたたいたり水に浸したりしていた痕跡を発見。食用に植物を加工していたことを示す直接的な痕跡としては、アフリカ以外で最も古かった。

有史以前の人類がこうした形で植物を組み合わせて食材としていたことは、味が重視されていたことを物語ると研究者は指摘する。

初期の人類は肉ばかり食べていたわけではなく、食事の内容は住む場所に応じてバラエティーに富み、味の違いを認識しながらさまざまな植物を選んで使い分けていたと思われる。


南イタリアの新石器時代の遺跡から発掘されたあごの骨。別の研究では古代人の歯垢から発酵など食事と調理技術の傾向を特定することができた/Andrea Quagliariello

これまでは、そうした料理法が現れたのは人類のライフスタイルが狩猟採集から農耕に切り替わった6000年前~1万年前ごろだったと思われていた。

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