W杯イラン代表、試合前の国歌に沈黙 抗議デモに連帯か

試合前に列を組むイラン代表=21日、カタール/Hannah Mckay/Reuters

2022.11.22 Tue posted at 10:57 JST

(CNN) カタールで開催されているサッカーのワールドカップ(W杯)でイラン代表チームの選手らが21日、イングランド代表との試合前に国歌を歌わず、沈黙を続けた。

イランで風紀警察に拘束された女性の死をめぐり、全土に広がっている抗議デモへの連帯を示したとみられる。

イラン側の応援席からは終始歓声が上がっていたが、チームへの支持表明だったのかどうかは明らかでない。

試合はイングランドが6―2で圧勝した。

代表チームのケイロス監督は終了後の記者会見で、サッカー自体とは関係のない質問を受けることに不快感を示し、「W杯がこの時期に開催されるのは選手たちのせいではない」「選手は他国のチームと同様、国を代表したがっている」と語った。

国歌斉唱の件には言及せず、「私たちの感情や意見は適切なタイミングで表明する」と述べた。

ゴールを決めて喜ぶイングランドのサカ選手。試合は6―2でイングランドが大勝した

試合前にスタジアムへ向かうイラン人ファンらは、母国での影響を恐れ、帽子やマスク、サングラスで顔を隠して歩いた。イラン当局が現地に、観客を監視する警備要員を送り込んでいるとのうわさもあるという。

巨大なはさみを手にする人の姿もみられた。デモの発端となった女性は髪を隠す「ヒジャブ」の着け方が不適切だとして拘束されたことから、イランでは女性たちの髪を切る行為が抗議デモのシンボルとして広がっている。

デモ隊への弾圧をめぐり、W杯を主催する国際サッカー連盟(FIFA)には当初、イラン内外から同国の出場禁止を求める声が集まった。だがインファンティーノ会長は開幕前、試合で対決するのは政権やイデオロギー同士でなく、サッカーチームだと強調していた。

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