外国政府によるトランプ氏のホテルでの支出、新たな記録から明らかに

外国政府によるトランプ氏のホテルでの支出が、新たな会計記録から明らかになった/Julio Cortez/AP

2022.11.15 Tue posted at 19:15 JST

(CNN) サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)など6カ国の政府が70万ドル(現在のレートで約9800万円)を超える金額をトランプ前米大統領の任期中の2年間、同氏の所有する米首都ワシントンのホテルに支払っていたことが分かった。新たに公開された会計文書から明らかになった。

これらの新たな文書は、複数の外国政府が現職の米大統領の所有する企業に直接金銭を支払うという珍しい慣行の具体的な証拠となる。下院監視委員会の民主党議員らが改めて疑問を呈したのは、こうした取り組みがトランプ氏に影響を与えるためのものだった可能性だ。大統領職にある当時のトランプ氏に対し、本人の企業を通じて働きかけが行われた疑いがあるとしている。

会計文書は、トランプ氏の以前の会計事務所メイザーズから監視委員会が入手した。同氏のビジネスを調査する監視委員会は、9月に和解した1年に及ぶ法廷闘争を経て、これらの記録の提供を受けていた。

外国の代表団がトランプ氏の任期中、当該のホテルに滞在していたのはすでに知られているが、これらの滞在に関する詳細な会計記録が提供されるのは初めて。支出が記載されている国々は中国、サウジアラビア、カタール、トルコ、マレーシア、UAEの6カ国。

当該のホテルは2016年に開業し、トランプ氏の信奉者や共和党議員、ロビイストらが政権当局者に接触する機会を得ようと集まる場になっていた。民主党はかねて、トランプ氏が憲法の規定に違反していると非難。当該の条項は、大統領が議会の同意を得ずに外国から「報酬」を受け取るのを禁止している。

会計記録から分かる各国の支出額はマレーシアが25万ドル以上、カタールが28万ドル以上、サウジが9万ドル以上、UAEが7万4000ドル以上となっている。加えて外国政府とつながりのあるロビイストや他の企業も、数万ドルを同ホテルに支払っている。

ホワイトハウスでサウジのムハンマド皇太子と会談するトランプ大統領(当時)

トランプ氏の一族が経営するトランプ・オーガニゼーションは今年、このホテルを売却した。上記の支出が直接米国の政治に影響を与えた証拠はないものの、滞在期間の多くは重大な外交政策上の出来事が起きた時期と重なっている。具体的にはトランプ氏と各国首脳との会談や、米国が解決に向けて取り組んだ17年の中東諸国によるカタールとの国境封鎖などだ。

監視委員会は14日、国立公文書館に書簡を送り、部分的に編集された会計記録の詳細を説明。トランプ氏のホテルと外国政府に関するその他の大統領記録を要求した。「トランプ前大統領が米国の外交政策を歪め、自身の経済的利益を得ていなかったかどうか見極める」ためだとしている。

同委員会のキャロライン・マロニー委員長はCNNへの声明で、会計記録を通じ、大統領任期中のトランプ氏がどの程度自身の個人的な経済的利益を念頭に行動していたのかが厳しく問われると指摘。その際、米国民の最良の利益が二の次にされた疑念も生じると述べた。

その上で、これらの文書を通じた議会の取り組みにより、将来の大統領が自らの立場を利用して個人的な利益を得ようとすることはなくなるとの見方を示した。

公文書館の報道官はCNNの取材に答え、上記の書簡を受け取っていると説明。「今後、大統領記録法に従って対応する」と述べた。

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