「火の玉ロック」のジェリー・リー・ルイスさん死去、87歳 ロックンロールの先駆者

型破りなピアノ奏法で黎明期のロックンロールを牽引したJ・L・ルイスさんが死去した/Michael Ochs Archives/Getty Images

2022.11.02 Wed posted at 16:39 JST

(CNN) 足を踏み鳴らし、ピアノの鍵盤をたたきまくる演奏スタイルで初期のロックンロールに衝撃を与えた歌手のジェリー・リー・ルイスさんが亡くなった。87歳だった。

代理人が声明で明らかにした。「火の玉ロック」などのヒットを飛ばす一方、結婚にまつわるスキャンダルがキャリアに影を落としたこともあった。

声明によるとルイスさんの死因は「自然死」。7番目の妻にみとられ、ミシシッピ州の自宅で息を引き取ったという。

チャック・ベリーやエルビス・プレスリーらと並び、ルイスさんは1950年代のロックを牽引(けんいん)したミュージシャンの一人だった。「キラー」の異名を持つ一流のショーマンで、その荒々しく型にはまらないパフォーマンスに若いファンは熱狂した。

ただ私生活では逆風にさらされた。人気がピークに達しようとしていた58年、13歳のいとこと結婚していたことが世間の知るところとなった。当時ルイスさんは22歳だった。

当初は記者に対し、いとこの年齢を15歳と説明していたルイスさんだが、事実が明るみに出ると非難の声にさらされた。聴衆からは野次(やじ)が飛び、当時行っていたコンサートツアーは中止を余儀なくされた。

レコーディングやツアーはその後も継続したものの、ビートルズが台頭する中で、ルイスさんがキャリア初期の人気を取り戻すことはなかった。

亡くなる数日間は、喜んで死後の世界に行く、恐れてはいないと妻に告げていたという

それでもセールスの伸び悩んだ10年間をしのぐと、60年代後半にはカントリー歌手として復活。70年代にかけ、数多くのヒット曲でトップ10入りを果たした。

89年にはデニス・クエイドがルイスさんを演じた伝記映画「グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー」が公開され、ルイスさんの人生と音楽に改めて注目が集まった。映画のサウンドトラックには、本人自ら録音したかつてのヒット曲の新バージョンが使用された。

しかし私生活には依然として問題が付いて回った。7度の結婚や破産申請のほか、アルコール・薬物依存との戦いも数年にわたり続いた。

今年10月にはカントリー歌手の殿堂入りを果たしたが、自身のソーシャルメディアに投稿した声明によると、体調不良のため本人がセレモニーに出席することはできなかった。

ルイスさんが残した不朽の遺産と言えば、あの型破りなピアノ奏法だろう。そのスタイルはエルトン・ジョンをはじめとする多くのミュージシャンに影響を与えた。コンサートの間、ルイスさんは鍵盤を拳や肘(ひじ)でたたき、ピアノスツールを蹴り飛ばし、ピアノによじ登ったりした。ピアノに火をつけたことさえあるとされる。

こうしたやり方で、ルイスさんはギターだけがロックンロールではないことを体現してみせた。

ロックンロール切り拓いたピアノマン、ジェリー・リー・ルイスさん死去

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。