ペロシ米下院議長宅を男が襲撃、夫を縛ろうと試みる 「ナンシーはどこだ」

ポール・ペロシ氏/Andrew Harnik/AP

2022.10.29 Sat posted at 10:07 JST

ワシントン(CNN) 米カリフォルニア州サンフランシスコにあるペロシ下院議長の自宅で28日未明、夫のポール・ペロシ氏(82)が侵入してきた男にハンマーで襲撃された。複数の警察情報筋がCNNに明らかにした。事件について報告を受けた情報筋によると、襲撃犯はペロシ議長を探していたという。

この情報筋によると、襲撃犯は議長宅でポール氏と対峙(たいじ)し、「ナンシーはどこだ」と叫んだ。事情に詳しい情報筋2人によると、男は「ナンシーが帰宅するまで」ポール氏を縛っておこうとしたという。警察が到着すると、男は「ナンシーを待っている」と語った。

ペロシ議長の報道官は同日夕の声明で、ポール氏は病院に搬送され、頭がい骨骨折や右腕および両手の重傷を修復する手術に成功したと明らかにした。医師は完全回復を見込んでいる。


ポール・ペロシ氏/Andrew Harnik/AP

今回の襲撃は米政界に衝撃を与え、民主、共和両党の指導者から無事を祈る声や非難の声が寄せられた。2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃や、連邦議員を狙った近年の他の暴力事件を受け、米国では議員に向けられる政治的暴力への懸念が高まっている。

事情に詳しい情報筋によると、ペロシ議長は手術前に夫と話をすることができた。ペロシ議長は夫に付き添うため、家族とともに空路サンフランシスコに向かったという。

サンフランシスコ市警は記者会見で、男をデービッド・デパピ容疑者(42)と特定し、出動した警官らが目撃した現場の様子を説明した。動機については捜査中という。

ペロシ議長宅前の通りには警戒線が張られた

警官らは現場に到着した際、成人の男とポール氏に遭遇。容疑者がポール氏からハンマーを取り上げ、それでポール氏を殴打したため、警官らは即座に男にタックルして凶器を奪い、身柄を拘束した。さらに緊急支援を要請し、応急手当てを施したという。

情報筋によると、ポール氏は襲撃が始まった際に911番に緊急通報し電話をつないだままにしたため、指令係は会話を聞き取ることができた。ポール氏は侵入者に電話に気づかれないよう、男にわからないような話し方で会話を続け、不測の事態が起きていることを暗に伝えた。状況を察知した指令係は警官に家の確認に向かうように指示、2分以内に警官が現場に到着したという。

容疑者は家の裏側から邸宅に侵入した。規則に詳しい情報筋によると、ペロシ議長が不在のため、家には警備部隊がいなかったとみられる。

男はフェイスブック上に新型コロナウイルスワクチンや20年の選挙、連邦議会襲撃事件に関する陰謀論などを投稿していた。知人はCNNに対し、男は「現実から乖離(かいり)」しているように見えたと語った。

情報筋3人によると、デパピ容疑者は議会警察に知られておらず、連邦政府の脅威追跡データベースにも登録されていなかった。

ホワイトハウスによると、バイデン大統領はペロシ議長と話をした。ホワイトハウスのジャンピエール報道官は声明で、「大統領はポール氏とペロシ議長の家族全員のために祈っている。今回の恐ろしい事件を受け、大統領はけさペロシ議長に電話をかけ支援すると伝えた」と明らかにした。

共和党のマコネル上院院内総務はツイッターに、事件を聞いて「恐怖と嫌悪を感じた」と投稿。ポール氏の全快の見込みに安堵(あんど)していると書き込んだ。

同党のマッカーシー下院院内総務も報道官を通じて、ペロシ議長に連絡を取り、ポール氏の全快を祈ると伝えたことを明らかにした。

ペロシ下院議長宅を男が襲撃、夫が重傷

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