元恋人殺害の罪で終身刑の男性、23年後に検察が起訴取り下げ 米ボルティモア

元恋人殺害の有罪判決を受け服役していた男性への起訴が、23年後に取り下げられた/Evelyn Hockstein/Reuters

2022.10.12 Wed posted at 19:46 JST

(CNN) 米メリーランド州ボルティモアの検察は11日、元恋人を殺害したとして有罪判決を言い渡されていたアドナン・サイード受刑者に対し、全ての起訴を取り下げた。1999年の事件で有罪となった同受刑者は20年以上服役。事件は8年ほど前にポッドキャスト番組の「シリアル」に取り上げられたことで脚光を浴びていた。

ボルティモア市検察のマリリン・モスビー検事は、当該の起訴を取り下げるよう指示したと述べた。これに先駆け、被害者のヘイ・ミン・リーさんの靴や衣服などを対象に高度なDNA鑑定を行ったところ、サイード受刑者が関与した可能性は排除されていた。

今回鑑定した品目はこれまで一度も鑑定されたことがなかったとモスビー氏は説明。検察は引き続きリーさんの死について捜査し、殺害に関与した人物を起訴するとしたが、サイード受刑者に関して「この事件は終わった」と述べた。

誤った有罪判決の責任は過去の体制に帰するとしながらも、モスビー氏はリーさんの遺族やサイードさん本人とその家族に謝罪した。

サイードさんは先月、検察が有罪判決を無効としたことを受け釈放されていた。この時検察は「有罪判決の完全性に対する確信がない」としつつサイードさんの無罪を宣言するには至らず、DNA鑑定の結果を待ちながら30日以内に再審を行うかどうか判断するとしていた。

23年前の事件発生当時、サイードさんは17歳だった

23年前にリーさんが殺害された当時、サイードさんは17歳だった。2000年、事件に関連して殺人や強盗、誘拐、監禁などの罪で有罪を言い渡され、終身刑を宣告されたが一貫して無罪を主張してきた。

事件は、ポッドキャスト番組の「シリアル」が取り上げて有罪判決に対する疑問を浮上させたことをきっかけに注目を浴び、HBOのドキュメンタリー番組も制作された。

サイードさんの弁護士を務めるエリカ・スーター氏は声明で検察の判断を歓迎。「ようやくアドナン・サイード氏は自由な人間として生きることができる。DNA鑑定の結果が確認したのは私たちにとってすでに周知の事実であり、初めから現行の訴訟の根底にあったものだった。つまりアドナンは無実だということ。人生の23年間を犯していない罪のために失ったということだ」と述べた。

その上で、「訴訟手続きが完全に終わったわけではないが、これはアドナンにとって重要な一歩だ」と付け加えた。

サイードさんには行動監視のための足首モニターが装着されていたが、スーター氏によると、11日に監視は解かれたという。

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