難民少女の巨大な操り人形「リトル・アマル」がNYに登場

人々に見守られながら歩く操り人形「リトル・アマル」=16日、米ニューヨーク市のタイムズスクエア/Arturo Holmes/Getty Images

2022.10.01 Sat posted at 19:00 JST

(CNN) 「リトル・アマル」という名の巨大なパペット(操り人形)が、米ニューヨーク市内にお目見えした。シリア難民の10歳の少女がおじを捜しているという設定で、難民への理解を呼び掛けるプロジェクトの一環だ。

パペットは身長約3.7メートル。名前の「アマル」はアラビア語で希望を意味する。

これまでバチカンでローマ教皇と対面し、ギリシャでデモ隊に遭遇し、フランスのパリではエッフェル塔の横でポーズを取るなど、欧州各地を訪れて注目を集めてきた。


セントポール大聖堂に到着したリトル・アマル=2021年10月23日、英ロンドン/Hollie Adams/Getty Images

ニューヨークには先月14日にやって来た。同市には最近、テキサス州からバスで送り込まれた移民が続々と到着している。

プロジェクトを率いる英企業ザ・ウォーク・プロダクションの芸術監督、アミル・ニザル・ズアビ氏はCNNとのインタビューで、市民からの歓迎の気持ちが、支援や思いやりを必要とする実在の人々にも向けられることを期待していると語った。

同氏はまた、難民の半分は子どもたちだという事実が忘れられていると指摘。難民や移民の子ども、大人の同伴者がいない未成年者らの存在は見過ごされがちだが、社会の中で目に見える存在にすることが、プロジェクトの大きな目的だと述べた。

人々に見守られながら歩く操り人形「リトル・アマル」=16日、米ニューヨーク市のタイムズスクエア

リトル・アマルはニューヨークでもグランドセントラル駅を歩き、国連本部で世界のリーダーたちと会い、ブルックリン橋を渡り、タイムズスクエアで人ごみに紛れるなど、多くの有名な場所に出没した。

アダムス市長はリトル・アマルを歓迎したインスタグラムのメッセージで、同市は移民の街だと指摘。祖先が英国からメイフラワー号で渡ってきた者、紛争地帯から逃れてきた者もいれば、テキサスからバスでニューヨーク入りした者もいると述べて、互いに理解し合い、手を貸し合おうと呼び掛けた。


歩きながら古代ギリシャ神話の「アリアドネの糸」を演じるリトル・アマル=2021年9月2日、ギリシャ・アテネ/Milos Bicanski/Getty Images

パペットの操作は、左右の腕を動かすのに1人ずつ、背中を支えるのに1人、中で竹馬に乗る1人の計4人がかりだ。

リトル・アマルはもともと、英国の劇作家でプロデューサーのデービッド・ラン氏が仏北部カレーの難民キャンプを描いた演劇作品「ザ・ジャングル」の登場人物だった。ラン氏は制作過程で多くの難民から話を聴き、舞台のほかにもやるべきことがあるとの思いを抱いたという。


米ニューヨークのセント・パトリックを歩くリトル・アマル=18 日/Ed Jones/AFP/Getty Images

2021年7月以降、リトル・アマルは計9000キロを超える旅で12カ国を訪れた。ギリシャでデモ隊から石を投げられたこともあるが、各地でおおむね温かく迎えられてきた。

ズアビ氏はインタビューで、難民と聞けば悲惨なイメージばかりが浮かぶが、実際には難民や移民が知識や経験を持ち込み、地球上のだれよりも逆境から立ち直る力が強い人々として、社会に価値をもたらしてくれることを示したいと語った。

ニューヨークでは5つの区すべてで計数十件のイベントを開催した。滞在は2日までの予定だが、その後どこへ向かうのかは公表されていない。

難民少女の人形「リトル・アマル」、世界各地を訪問

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