逮捕後の女性死亡に抗議のデモ、衝突で死者5人 イラン

抗議デモの様子=19日、テヘラン/AFP/Getty Images

2022.09.21 Wed posted at 13:55 JST

(CNN) イランで先週、服装規定などを取り締まる道徳警察に逮捕された女性が死亡した問題をめぐって、拷問があったと主張するデモ隊と治安警察が衝突し、人権団体によると5人が死亡した。

ノルウェーを拠点にイランの人権侵害を監視する団体HOHRによると、イラン西部のクルド人居住地域で19日、デモの最中に5人が撃たれて死亡した。このほかの都市でも先週末、計75人が負傷したという。

国連のナシフ人権副高等弁務官は20日、イラン治安部隊によるデモへの暴力的な対応に懸念を示した。

一方、テヘラン州のマンスーリ知事は19日夜のツイートで、デモ隊が首都テヘラン市内で組織的に警察を攻撃し、公共施設を破壊したと非難した。

抗議デモは、道徳警察に逮捕されたマフサ・アミニさん(享年22)の死を発端に、各地へ広がっている。

アミニさんは13日、西部クルディスタン州から家族とともにテヘランの親戚を訪ねた際、道徳警察のパトロール隊に逮捕された。

当局はアミニさんが16日に心臓発作を起こして昏睡(こんすい)状態に陥り、死亡したと発表。これに対して遺族は、アミニさんに心臓の持病はなかったと主張した。

亡くなったマフサ・アミニさん

イラン国営メディアが公開した編集済みの防犯カメラ映像には、アミニさんが服装に関する指導を受けたとされる「再教育センター」で倒れる場面が映っている。

これを受けて、アミニさんが拘束下で拷問や非道な扱いを受けて死亡したとの疑惑が浮上。だが政府系ファルス通信が19日に伝えたところによると、警察はこれを否定し、アミニさんの死は「不運な出来事」だったとの見解を示した。当局は遺体を解剖し、後日結果を公表するとしている。

首都圏の警察責任者は19日の記者会見で、警察はアミニさんの救命に全力を尽くしたと強調した。

だがデモ隊は当局の説明を受け入れていない。国連によると、テヘラン以外にも多くの都市で数千人規模のデモが展開された。

ファルス通信によれば、アミニさんの故郷サケズでは17日の葬儀の後、治安部隊がデモ隊に向かって催涙ガスを発射した。政府系メヘル通信は、デモ隊が警察に説明を求め、知事公館に石を投げ付けたと伝えた。

ファルス通信はさらに、クルディスタン州の州都サナンダジで18日深夜、デモ隊が結集して反政府のスローガンを唱える場面のビデオを公開した。

インターネット上には、デモ隊が「独裁者に死を」と叫んだり、女性たちが髪を覆う布「ヒジャブ」を脱いで振り回したりする映像も流れている。

逮捕の女性死亡で抗議デモ、5人死亡 イラン

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