(CNN) 米フロリダ州の野生生物園で先月、管理者の男性がワニにかまれて片手を失った。この男性がワニに絡んで重傷を負うのはこの10年で2度目。
「フロリダ・ゲーター・ガーデンズ」のフェイスブックの投稿によると、同園の野生生物管理者グレッグ・グラジャーニさんは先月17日、「大型のワニとの日常の接触を図る中で重傷を負った」という。
元警察官のグラジャーニさんは日常訓練の最中に、ワニのあごの下に左手を添えて指示を出していたところ、周囲の葉が間に舞ってきて視界を遮られた。
これが引き金となって、ワニが突進。グラジャーニさんの手が口の中に入った瞬間、本能でワニは後ろに下がった。グラジャーニさんは「ワニに悪意は全くなかった」と言う。
幸いにも、ワニは命令に従って身を引き、グラジャーニさんの手を離した。「訓練を全く受けていない野生のワニだったら、もっとひどいことになっていただろう」(グラジャーニさん)
園によれば、医師は当初左腕を救えると考え、一部切断された腕をつなげた。だが損傷はかなりひどく、手は腱(けん)と一部の筋肉でつながっているだけだった。「1回目の手術ではねじれを6回も戻さなければならなかった」という。
25日夜、グラジャーニさんは手術でひじから下を切断。上腕はそのまま残し、切断後にしばしば起こる幻肢痛を回避し、将来的には義肢の使用も可能になるように神経をつなぎ直した。
「手を残すことができたら最高だったが、来週にはようやく退院して、この数年間全身全霊を注ぎ込んできたプロジェクトを再開できるのが楽しみだ」(グラジャーニさん)
グラジャーニさんは過去にも腕を失う危機に直面している。2013年にはワニにつないだロープがワニの回転とともにグラジャーニさんに絡まり、引きずられて腕に重傷を負った。だが園によれば、「爬虫(はちゅう)類への情熱をみなと分かち合いたいという新たな決意を胸に、仕事に復帰した」という。
グラジャーニさんは「ワニに復讐(ふくしゅう)心はない。彼らは本能で動いている」と語り、「こうした生き物との共生は間違いなく安全にできる」ということを人々に啓蒙(けいもう)する重要性を力説した。
「命令に従うワニを初めて見た時には衝撃だった。その展示室にいた6頭のワニはみな自分の名前を理解している」
グラジャーニさんによれば、今後同じことが起こらないようチーム内で安全手順を徹底的に見直す予定だという。「この仕事にこうした危険はつきものだ。公共の安全の問題ではない」
同様に園側もワニ飼育時の安全性の重要性を強調した。
同園は「種類を問わず、園内の動物と接する際は状況の重大さを忘れてはならない。我々は種の間での協力と訓練が教育される環境で動物と接しているが、それは時には少なからず本能と相反することもある」「問題のワニは無傷で、今後も園内の貴重なメンバーとしていつづける」と述べた。
同園では、ワニと一緒に泳いだり巨大ヘビを抱えたりするなど、来場者が至近距離で爬虫類と触れあえるツアーを提供している。園のイベントページによれば、希少なアルビノや黒色のワニの他、フロリダ当局から「害獣」として捕獲された後に引き取られた巨大ワニも7頭収容されている。