ニューヨーク(CNN) インフレ高進でほぼすべてのものが値上がりしている。家計で大きな割合を占める費目の一つ、養育費はとくに大幅に増加している。
米シンクタンク「ブルッキングス研究所」の最新の推計によると、2人の子どもを持つ中流家庭の場合、下の子どもの出産から高校までにかかる費用は31万605ドル(約4300万円)にのぼる。
米農務省の2017年の報告書は、中流家庭で子どもが17歳になるまでにかかる養育費を23万3610ドルと推定した。この数字には15年に生まれた子どもの食費、住居費、その他必要経費が含まれているが、大学の学費は考慮されていない。
ブルッキングス研究所の調査では、昨今の記録的なインフレ率により、こうした費用が大幅に増加していることが判明した。同研究所はこの結果を最初に米紙ウォールストリート・ジャーナルに共有した。
「これから家庭を築こう、あるいは家族を増やそうとした場合、家計の他の費用とのトレードオフが必要になることを考慮にいれなくてはならない」。今回の調査を共同執筆したブルックス研究所経済調査部のイザベル・ソウヒル上級研究員はこう述べた。
もっとも高額なのは住居費で、養育費の約3分の1を占めている。7月の住宅価格中央値は前年比10.8%増の40万3800ドルで、10年以上も前年同月比を上回っている状況だ。住宅価格の高騰は全米各地で見られ、都市部では直近の四半期に2ケタの伸び率を示した。
次に多いのが食費で、農務省の調査では養育費全体の18%を占めている。ソウヒル氏は、ブルッキングス研究所の最新の推計では、品目間の費用配分の調整を行っていないと注意を促した。
この1年で食料品の価格は13.1%上昇した。労働統計局によれば、1979年以来の年間上昇率を記録している。インフレにより卵は38%、鶏肉は17.6%、牛乳は15.6%と、主要食料品はほぼすべて値上がりした。
ソウヒル氏いわく、今回の推計では今後のインフレ状況について大きな仮定を置いている。2015年に生まれた子どもの養育費をベースに算出しており、7歳以降についてはインフレ率の予測が必要となるためだ。
農務省は15年以降のインフレ率を2%と想定して養育費を推計した。だが、ソウヒル氏は米国が1970年代後半のインフレ高水準を切り抜けた後の歴史的傾向を踏まえ、最新の予想でインフレ率を4%と仮定した。
「79年、連邦準備制度理事会は当時2ケタ台のインフレ率を抑えるべく、大幅な金融引き締めを行ったが、そうした数値が正常値に戻るまで少なくとも10年かかかった」(ソウヒル氏)