「まるで海」、国土の3分の1を覆う洪水で甚大な被害 国際支援呼びかけ パキスタン

腰まで水に浸かりながらパキスタン北西部の被災地域を移動する家族/Abdul Majeed/AFP/Getty Images

2022.08.30 Tue posted at 10:55 JST

イスラマバード(CNN) モンスーンの大雨が続くパキスタンが、国土の3分の1に洪水の脅威が迫る史上最悪級の気候災害に見舞われている。被災地では軍も動員して救出活動が続けられ、支援団体は国際社会の緊急支援を呼びかけている。

パキスタンのシェリー・レーマン気候変動相は28日、未曽有の大雨によって住宅や農地の浸水被害が拡大し、数百万人が避難する「気候惨事」がもたらされたと指摘。インド・パキスタン地域は「小さな海」のような状態になり、海軍を初めて同地に派遣する対応を迫られたとドイツの放送局に語った。

国家防災管理庁(NDMA)は29日、6月半ば以来、洪水や豪雨のために子ども386人を含む少なくとも1136人が死亡し、1634人が負傷したことを明らかにした。降り続く雨のために犠牲者はさらに増える恐れがある。

レーマン気候変動相は25日、「これが終わるまでにはパキスタンの4分の1か3分の1が水に浸かっているかもしれない」とトルコの報道機関に語っていた。

29日に撮影されたマクサー・テクノロジーズの衛星画像には、インダス川流域や、パキスタンで最も人口の多いパンジャブ州のラジャンプールなどの都市で、住宅や畑が完全に水没している様子が写っている。

パキスタン軍は、洪水で取り残された人たちをヘリコプターを使って救助する映像を公開した。濁流となった川の中で岩の上に取り残された男の子の姿もあった。

NDMAによると、鉄砲水によって3000キロを超す道路が破壊され、130の橋と49万5000棟の住宅が損傷。被害地域へのアクセスは一層難しくなっている。

多くの橋が破壊され、被災地へたどり着くのも困難な状況となっている

シャバズ・シャリフ首相も週末にかけて救援活動に参加。首相府が公開した映像によると、水路でも陸路でも到達困難になった地域にヘリコプターから救援物資を投下した。

シャリフ首相は27日、洪水の被災地を訪れているとツイートし、「この惨事の規模は推定を上回る」と伝えた。

シャリフ首相は26日、イスラマバードで各国の大使や外交官と会い、国際支援を訴えた。

国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は29日、推定32万4000人の緊急支援に充てるため、2500万ドル(約35億円)あまりの支援を呼びかけた。

IFRCの27日の声明によると、同国の各地で「海のような」洪水のため、住宅50万棟以上が損壊し、310万人以上が避難を強いられた。

パキスタン国内の支援団体代表は26日、豪雨による洪水で輸送や移動も制限され、新型コロナの不安や車両やインフラの被害のために、緊急支援活動がほぼ不可能になっていると語った。

「海さながら」の洪水被害、必死の救出活動続く パキスタン

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